昭和の風林史(昭和四九年十月二日掲載分)

環境冴えぬが 底値脱出の動き

悪役の手亡と証券市場の暗さが、立ち直ろうとする小豆の足を引っ張るが小豆は底入れした相場だ。

「飯櫃も障子も洗ふ小川かな さかえ」

証券市場が崩れている。NY株安の影響を受けている。NY株は機関投資家の投げが原因だ。インフレと原油価格をめぐる混乱が原因だ。インフレと原油価格をめぐる混乱が嫌気されている。

しっかりに寄り付いた新ポの小豆相場は、手亡安と株安の影響を受け低落した。

まだ小豆相場は強靭な姿で立ち直るほどの体力がついていなかった。

底打ちのムードと期待だけでは物にならないようだ。

弱り目にたたり目と言う言葉がある。泣き面に蜂などともいう。

物事、調子のよい時は都合の悪いことまでが都合のよい結果をもたらすが、一旦悪い方の目になると、何事もテレコ、テレコになる。即ちバイオリズムである。

手亡相場が悪役になっている。ビルマ・バターライマ等、大型輸入ワクの圧迫で売り急がれ、これが手亡相場に強い影響を与え、穀物市場全般に陰惨な陰を落としている事も小豆相場の回復を遅らせる要因だ。

すでに大底を打っている小豆だから、あとは日柄薬で体力のつくのを待つだけである。夜道に日は暮れない。焦る必要はない。

昔から相場は三月(つき)またがり60日という。ひと相場の波動である。七月26日を頭にして、八月、九月、十月と三カ月をまたがり日足線で五十本。日曜休日を加えれば、すでに六十日を経過している。

人の気、人気も転換する時分である。

見渡せば、さしもの田商品市場の惨落も、ようやく落ち着きを見せはじめた。

日本経済は10月~12月に大底を打ち、来年1月~3月に出直りという見通しが支配している。

企業は九月期決算を終わって新営業年度入り。なんだかんだと言ってもボーナスシーズンは目の前に控えているし、年の暮れは冷たい風と共にやってくる。

暗い面ばかり考えず経済の活動が活発になるほうに目を転ずれば、自ら道も開けよう。

小豆相場だって、二万円の五千円安は二割五分安地点。日柄の面からもコストの面からも、あるいは相場内部要因も、下げ余地のない地点に来ていることだけは確かである。

強気方針。大幅反騰期待。なんら変わらない。

●編集部註
 昔、東京の証券取引所と穀物取引所は日本橋川を挟んで存在。両取引所の往来は鎧橋を利用する。

 株で負けたら鎧橋を渡り商品先物で勝負。そこでも負けたら鎧橋から飛び込めば良し、と昭和の相場小説に記述がある。

【昭和四九年十月一日小豆三月限大阪一万六三九〇円/東京一万六四六〇円】