魔の淵を脱出 絵に書いたよう
相場の教科書にあるような二番底確認の小豆相場だった。かなりの幅と勢いの反発が期待される。
「鵙鳴くや明治の椅子の影深し 彩二」
この小豆相場が立ち直るのは下げ日柄充分という面からであろうと思う。
日足線で70本の下げ相場だった。
この間に、人の気持ちは大きく変わった。
絶望的悲観人気である。
また、考えられるすべての売り材料が言われ、相場もそれに従った。
人々はこの間、暗いほうの側ばかりを見てきた。相場環境が、そうなのだからこれも当然の仕儀である。
しかし、ここで相場は完全な二番底を形成し、改めて見直されようとしている。
今まで無視されてきた硬材料、即ち買い材料が、真価を発揮するのである。
来月新ポは、新穀一本の限月である(旧穀の供用が出来ない)四月限が登場する。当然、大きくサヤをつけて生まれるだろう。
また、新穀の出回りが遅れてることも定期市場に刺激を与える。
年内、ある程度の出荷は当然としても、値段が気にいらない。来年の作付け面積が(恐らく)五万ヘクタールを割る大幅減反になる。
そして来年の天候は、確率の非常に高い冷害・凶作型の年回りである。
生産者は49年産小豆の現場を〝虎の子〟のように扱うだろう。
弱気している人々は、出盛り期の供給過剰を考え、そして予測しているが、逆に需要最盛期の〝有りガスレ〟現象が表面化しそうだ。
すでに、相場の内部要因は値幅と日柄の両面で整理を済ませている。
そして、大局的見地から穀物供給を眺めれば、世界的食糧不足のおりから穀物の国内供給政策が国家的計画でおしすすめられようとしている。
あらゆる穀物価格の上昇と、米、麦、大豆等の大幅な増産。それに伴う小豆の作付け圧迫など、われわれは今現在のみを考えず、先物市場には先物市場本来の機能に基づく相場判断が行なわれて当然であろう。
在庫が多いから相場は売りだという考え方はあまりにも近視眼的である。
相場は底を打ったのである。筆者が前々から言う第二段目の買い場が出現した。それは長期投資の姿勢による投機である。投機のマーチは抜けるような秋の空に響きわたろう。
●編集部注
昭和四九年十月九日発売の雑誌『文藝春秋』に掲載された田中角栄に関する二つの記事は、日本よりも欧米のメディアで多く採り上げられた。
彼が外国人記者向け記者会見を行ったのが二三日。ここで国内各紙でも大きく取り扱われ問題化。約一カ月後に内閣総辞職に追い込まれる。
【昭和四九年十月二四日小豆三月限一万五七九〇円・一一〇円高/東京一万六〇一〇円・一五〇円高】