昭和の風林史(昭和四九年十月二一日掲載分)

昭和四九年十月二一日掲載分

長期買い方針 買いに妙味あり

小豆相場に対する方針は二段、三段構えの長期計画の買いに妙味がある。大底は九月28日に打った。

「秋の潮強き面のはるかなり 襲太」

一万六千五百円の小豆相場は、高くもないし、安くもない値ごろのように思える昨今だ。いうところの居心地がよい場所である。

南向きの広縁で晩秋の陽を浴び、ぼんやりと菊の花でも眺め、時の流れを感じていない風情のようなものである。

市場の投機家は、年内の相場を底値圏内の逆張りという見方に落ち着いてきた。ただ、ひとつの材料として農林省が十二月に行なう最終収穫予想で小豆百六十一万俵の数字を、どの程度修正するか。減少こそすれ、ふえることはない。

鎌入れしてみて大幅に減っているか、それほどでもないかが焦点になる。

このほか年末にかけての新穀の出回りぐあいだ。

今の相場でさえ生産者は値段に不足がある。なお安ければ売り渋るだろう。

消費地に在庫が豊富にあろうと、必ずしも定期の売り方が持っているわけでない。買い方の手にある現物だって相当ある。

仮りに新穀の出回りが遅れ、年末需要最盛期に直面すれば、結構、定期相場を刺激するだろう。

相場が安ければ、出回りが遅れる。末端の品物は売れる。だから、有りガスレになる。相場は敏感に反応して高騰する。

そういうところから今の小豆相場は底値圏であるという見方が出来る。

一方、産地は出来秋に、ある程度の品物は売ってくる。品物を引っ張って積極的に相場を叩き崩せば、取り組み表で目立つ玉が投げてこよう。そうなれば、一万六千五百円が九月28日の安値近辺までは、無いようで有る値段になる。

相場にコスト無しという言葉もある。世相は厳しい金詰まりだ。いつ、突発的な材料が譜って湧くか判らない。

まあ、そういういろいろな要因の兼合いだ。

すこし先の事を考えれば昭和50年の作付け面積大幅減反や、冷害の可能性いよいよ強いということも材料になるし、米価の高騰、海外の雑穀事情など楽観出来ないものばかりだ。

従って、二段、三段の構えで長期方針の一貫した買いがよいと思う。

●編集部註
 よく「夜明け前が一番暗い」といわれる。

 この次の週に相場はドスンと下げる。

 皮肉だが〝一貫した買い〟が出来なかった人が多かったから、相場は2番底をつけたとも言える。

 相場は意地悪である。

【昭和四九年十月十八日小豆三月限大阪一万六四三〇円・三〇円高/東京一万六六五〇円・五〇円高】