イライラする気持ち通りの相場
大納会まで二週間あるが、例年にない無気力な年末相場となった。だがそれもまた相場の一つ。
年内余日少なく―という文句がそのままになって
きて、別に今日中に済ませねばならない仕事場ばかりでもないのにイライラとしがちである。
相場もその人間の気持ち通り、なにかとりとめのない動きの繰り返しとなっている。
十二月は商品・株式にかかわらず相場は例年餅つき相場といって上がったり、下がったりすることが多い。が、今年は金詰まりのせいか腰がふらついてその杵のあげおろしに力が入らず、このままではせっかくの餅もうまくつけるかどうか心もとない次第である。
それ故に餅つき相場のあとで悼尾の一振も今年は期待できないという意見が一般的。
事実、年間最大の需要期である年末になっても現物相場はまったく値動きが止まっている。
主な豆類の産地現物値段を十二月一日現在と十日現在とで比較すると、まず十二月一日現在が
小豆 一五、四〇〇円
大納言 二三、〇〇〇円
大手亡 一二、七〇〇円
大正金時一七、二〇〇円
これが十日現在だと、大納言、大正金時は変わらず、
小豆で一〇〇円、大手亡で二〇〇円安という僅かな動きにすぎない。
これは安ければ農家が売らないし、高ければ業者が買わない。双方にらみあいの状況が依然続いているのを示している。
いつもなれば、年末年始にかけての一発勝負を狙う仕手筋も資金の回転が窮屈だからどうにもならぬ。
「腹が減っては戦はできぬ」という譬えがあるが金が乏しくては思惑もできぬ。
まして来週火曜日発表の実収推定高が九月の発表を上回りそうというのだから近寄れない。まるでナイナイずくしである。
もし、この膠着状態をときほぐすものがあるとすれば、発表数字が評判倒れであるか、年内にも公定歩合引き下げで金融緩和が本格的となって仮需を刺激するか、天候相場の時期でないだけにいまのところこの二つしかない。
しかし、このいずれも実現が難しいとすれば、目の醒めるような年末相場を望むのがムリ。
世の中、三木さんのようなこともありうるからと重いながらも、いよいよイライラした気持ちになる。
●編集部註
「バルカン政治家」という政治用語がある。
毀誉褒貶を顧みず乱世の変化に機敏に対応するタフな政治家という意味が、日本では小派閥を率いてキャスティングボードを握る政治家に対してこの言葉が使われやすい。
現在、三木武夫はその代表格と認識されている。
【昭和四九年十二月十三日小豆五月限大阪一万六六七〇円・二〇〇円安/東京一万六七一〇円・二三〇円安】