昭和の風林史(昭和四九年十二月九日掲載分)

〝粗糖〟は無責任だ 粗糖の欠陥を直せ

下値は大丈夫という小豆相場。ただ上値を抑えられる要素があるため積極性がない。

「奈良に来て師走ともなき一日かな 一秋」

ニューヨークの商業取引所とミッドアメリカ商品取引所とミネアポリス穀物取引所は12月31日から金塊の先物取引を開始することになった。

取引対象の金は一kgの延べ棒で純度九九・五%以上。

パシフィック商品取引所も金の先物取引を計画していたが、金の売買を行なう他の六取引所と競り合うのは意味がないと見合わせた。

日本でも〝株式会社金市場〟という金の取引を行なう会社が出来て月間平均一トンの売買が成立しているそうだ。

金は品質の期限が、およそ無限であり、担保力は最大、そして物価とほぼ平行した価格変動をしている。先物市場での上場物件としては、人類最後に残された最大のものであろう。

前記〝(株)金市場〟は、どのような機構のものか判らないが、注目されるのは、今の日本の商品業界に、まったく関係のない人によって行なわれているという事である。

われわれは、今の商品先物業界が、いつまでも今の姿、今の体質では、必ず社会的に追い詰められていくであろうことを憂慮するものである。

しかし、商品先物取引の機能は、きわめて高度なものだけに他の業界の人々によって生かされていくであろう。

今の商品業界は滅亡しても商品市場の機能は自由主義経済の続く限り不滅である。

ところで新しい上場商品として期待されていた粗糖バラ積みの市場は思慮の錯誤によって、当初期待した機能を発揮出来ずにある。制限値幅を四円と抑えた事が致命傷となった。制限値幅は価格の五%としておけば充分商いが出来たはずだ。

一枚で一千万円損したという人にしても、踏む場がなかったからであり、天井を打てば今度は投げる場がない。

このような事ではヘッジ機関の役目も果たせない。

砂糖取引所は手直しをすべきである。それが出来ないという事は情熱がないからである。言いかえれば無責任な話だ。自分たちが生んだ子が病気持ちであった。であれば直すのが義務である。コイン・ロッカーに入れてはいけない。

●編集部註
 金取引の歴史は非常に古いが、現在の金市場の歴史は意外に新しい。

 米国が国民の金所有を自由化したのがこの年の十二月。田中貴金属のHP見ると昭和四八年からの価格データが載っている。昭和四九年のドル建て価格は平均価格で1トロイオンス=159㌦。当時のレートが1㌦=293円で、この年の同社の平均小売価格は1㌘=1598円であった。

【昭和四九年十二月七日・休場】