師走沸騰高へ 相場に兆候あり
ホクレンが売ってくると期待して空売りすると、恐らくその玉は踏まされるだろう。
「霧氷散る音ばかり日の深さかな 和己」
国鉄の貨車繰りが悪い。
農産物の出荷時期にストが続き、消費地向けの滞貨が山をなしているそうだ。
北海道の小豆も例年にない入荷難だ。
このほうは、消費地の値段が安すぎるため、生産者は、あわてて売ってこない。ホクレンが出荷を調整している―などの理由もあるが、貨車事情も影響している。
出盛り期に新穀の入荷が少なくても、48年産小豆の在庫が豊富だから相場は安定しているが、古品在庫が少なければ大変な事になっていよう。
十二月は小豆の年間最大の需要期である。
消費地の在庫が恐らく軽くなるだろう。
その事は、十一月納会を見ても、値ごろの受けが目立って、どちらかといえば渡し物不足の傾向でしっかりした納会になった。
筆者は、手亡も底が入ったと思う。
ピービーンズの契約で随分叩かれ、市場人気は手亡の一万円ベタが言われた。しかし先限は一万三千円の大台を割ることが出来ず、十一月の20、22、27日と下値を切り下げ、まんざらでもない表情だ。
悪い悪いの手亡も、市場管理委員会で、ピービーンズの供用格差を虐待しようという事になれば、相場は沸騰する。
今のような状態では、恐らく来年も手亡の作付け面積は激減して、大正金時の二の舞になる。
大正金時は手亡より安かった。だから生産が減ってしまった。今は手亡より大正金時のほうが上値にある。
手亡でさえも大底が入って沸騰高をした―という事になれば、嫌々この下値に抑えられている小豆が爆走しないとは言いきれまい。
筆者は師走に、ひと相場あると予想する。
いま人々は一万七千五百円以上にはホクレンのタナ上げものがヘッジされるから、それ以上に高くならないという先入観を持って相場を見ている。
だが、ホクレン筋は来年の小豆相場に対してはかなりの自信を持ち、強気の態度である。
果たして一万七千五百円から、折角の相場を潰すような売り方をするだろうか。
相場は、その地点から様相を変えるように思う。師走爆走高と見る。
●編集部注
夜明け前が一番暗い、とよく言われる。
株も低迷。商品も思うようには上がらず、時の首相はスキャンダルで退陣。社会全体がどこか陰陰滅滅としている印象だ。
この当時やっていた連ドラの挿入歌がさくらと一郎の「昭和枯れすゝき」であり、世相も相まって後にロングセラーとなる。
【昭和四九年十一月二八日小豆四月限大阪一万七〇八〇円・一〇円高/東京一万七一二〇円・九〇円高】