昭和の風林史(昭和四九年五月二十一日掲載分)

まず失地回復 全値戻しの勢い

押し目完了した相場は急速な出直り態勢にはいった。あるひ突然のS高含みの相場と見るべきだ。

「一つ葉やひと夜の露の居所 潮雨」

限月によっては15日。先のほうは16日、小豆相場は下げ止まった。

当限で千四百八十円下げ前回の時は千六百九十円下げ。五月限の線型はMの字型になって、これで安定した三本足ができている。

九月限でいえば、およそ半値押し完了。13、14、15、16、17日と日足棒の寄り引けが七、八百円どころに集まって、下げ余地のないことを暗示している。

この間、市場は閑であった。

産地の播種状況を見守った。

十勝地方は20日から小豆などの蒔き付けが始まり25日ごろには終わりそうだ。

今年は札幌の桜は六日ほど送れたという。天候は不順であるという見方と心配されるほど悪くないという見方が交錯している。

市場人気は七千五、六百円当時に比べれば、六千七、八百円で(九月限基準)かなり弱くなった。

閑な市場だから見違えるほどの取り組みの変化はなかったが、それでも内部要因は整理が進んだ。

それで、この相場のこれからであるが、今のところ下げ幅(九限で千二百円)分だけは、およそ回復出来るという見方が出来る。

もとより、播種後の天候の推移は重大な関心事であるが、気分的にも一万五千円が底という見方が、カサ上げされて一万六千円が底―というふうに人気が変化している。

これで、発芽期を待つわけだが、降霜の心配が例年より強い年だけに〝ある節(せつ)突然のS高〟という爆薬をかかえたような相場になっていくのである。

七限にしろ八限にしろ下げ幅全値の失地を回復することになれば、その時は市場の人気は湧くだろう。

本間宗久秘録にも五月充分下げる時は六月きわめて急上げなり―とある。充分下げた相場か、中途半端な下げに終わったか、それは見る人によってそれぞれ違うが、あれだけ強人気充満の相場が千五百円弱(期近)を下げたのだし、三千円もちあい圏の相場は半値下げたのだから、筆者は充分なる下げと見る。

ある日突然のS高含みの、これからの小豆相場は強気以外にない。

●編集部註
 穀物相場には季節アノマリーがあるから凄い。

 小豆と米―。相場は違えども、張る人の相場心理は古今東西関係なく共通しているのだといえる。

【昭和四九年五月二十日小豆十月限大阪一万七〇七〇円・一二〇円高/東京一万六九九〇円・九〇円高】