目先崩れ待ち万人常識的強気
このままでは上に行けない小豆相場だ。目先は崩れ待ち。千円押し地点から買いになろう。
「濁江の彼方五月の沖蒼し 秋桜子」
「正月ごろより三、四月まで、天井値段にて(注・高水準にて)もちあいの相場、五、六月のうち必ず下るべし、五月充分下る時は六月きわめて急上げなり。五月下らざる時は六月必ずして下ると心得るべし。疑いなし。五、六月の下げは二十一日まで、
さっぱりと手仕舞うべし。他の月の下げは二十九日~三十日まで下がるものなり」本間宗久秘録より。
また、こうも書いてある。「五月中旬より六月中の相場は、急に上げる時は、また急に下がるものなり。急に下げる時は上も同断。七、八、九右三カ月の間にて高下も同様なり」―と。
小豆相場を見ていると、なんとなく下放れしそうである。
九月限で六千五、七百円のあたりが瞬間的にあるのではないか―と。
人気が強い割りに相場に力がない。
くたびれた七千円台。
手垢によごれた七千円。
そのような感じだ。
くたびれた相場は休養を必要とする。
手垢によごれた相場はクリーニングを必要とする。
水はけが悪い。風通しがよくない。油が切れている。エネルギー不足。B欠、酸素欠乏―。
そういう相場だ。
誰もが先高期待で、冷害・凶作の不安。二万円相場。大相場。仕手介在。米価高。物価高―という諸材料と要因を知りつくしているから、強気はしても売ってこない。
売るのはなんとなく怖い。
万人皆常識的強気の市場である。
だから相場は上げられない。
悶悶(もんもん)の情だ。
こういう時にスカーッと剃刀(かみそり)で薄い線を引くように切ってしまえば、うっ血症状が抜けて晴々する。
本間宗久伝にもあるように、急落する場面があるのではなかろうか。
左様。大きな上値を期待する以上は、ここでの千円下げ、即ち九月限の一万六千七百円どころが欲しい。欲しいというよりは下げるべきだ。
このままでは上に行けない。仮りに反発してもそれは気まぐれな戻りでしかない。
目先、崩れ待ち。
●編集部註
読み通り、実勢相場は待ち焦がれた〝崩れ〟の相場がやってくる。
しかも買い方の相場心理をポキリと折り、売り方を心躍らせる大陰線を伴って。
熊本地震はなお余震が厳しいが、この年のこの月、日本では伊豆半島沖で地震が発生している。
ここも過去地震が起きなかった地域であった。
【昭和四九年五月八日小豆十月限大阪一万七六八〇円・二一〇円高/東京一万七五六〇円・二一〇円高】