昭和の風林史(昭和四九年九月十二日掲載分)

小豆の魔性が発揮されそうだ

小豆も手亡も底を売った感じが強い。油断していると降霜→爆騰という場面さえあり得る。

「一聯の露りんりんと絲芒 芽舎」

日毎に小豆相場は底練りの様相を濃くしている。

九月九日、十日の叩き込みは買い方最後の投げの割りにカラッとした明るいものが感じられた。

〝雑穀懇〟の小豆収穫予想百四十七万俵は、一応納得される数字として受け取られているが、鎌入れ不足という問題が今後の材料として注目されるし、早霜被害も人々が霜をまったく騒がない今の市場だけに用心しなければならない。

値段としての一万六千円台新穀相場は、昭和50年という時点までの思いをめぐらせば、大底の値段と言えよう。

来年は作付けの大幅な減反は必至である。米からの転作奨励金の打ち切り、生産者の手取り収入の低さなどから有利な他の作物、あるいは米に戻ることが予想出来る。

それに世界的な異常気象下にあって、二年続きの豊作のあとの平年作は、いうなら奇蹟のようなものだ。来年あたり、とんでもない大凶作に見舞われるかもしれない。

もとより公共料金の大幅上昇は諸物価を押し上げるだろう。

そういうことを思えば、この小豆相場、一万六千円は大底圏であり、今年は無理としても来年は二万円時代を迎えることだろうと先を読むわけだ。

しかも、桑名筋のほぼ完全なる撤退で、大掃除が出来た。

市場は再びもとの折り目正しい静かな相場に戻ろう。

巨大な過剰流動性資金はまったく穀物市場から姿を消してしまった。

市場では、昨年のような九千円も下げる失神しそうな大暴落をまだ考えている人もあるが、今年は、それはないと思う。

去年は大豊作に逆らって強引に買い上げ、大ちょうちんがついた。今年は九分作とはいえまだ油断が出来ないし因果玉の生理が早目に終わっている。

金詰まりによる仮需要の停滞にもかかわらず、高値から三割も下げきっていないところに小豆相場の秘められた魔性がある。

手亡相場にしても完全にとどいた動きである。

相場は理外の理だ。

小豆、手亡とも内部要因改善による案外の反騰が期待出来るのではなかろうか。

●編集部注
昭和四九年九月十四日の罫線に星が出る。

罫線の教科書に出るような実に綺麗な星が出る。

そこが売り方反撃の狼煙。ダメ押しの下げは、実に短く、大きく、酷い。

【昭和四九年九月十一日小豆二月限大阪一万六六五〇円・二〇〇円高/東京一万六五二〇円・二二〇円高】