昭和の風林史(昭和四九年九月七日掲載分)

売りやすいが 売る所ではない

少し戻せばすぐに売られる。しかしそのたびに反騰のエネルギーが蓄えられてきているのは明白。

今日は第一土曜日で商品市場は休会。

明八日は暦の上では白露(はくろ)。

野草に露の玉が宿る候である。

そういえば日中はまだ暑いが、朝方の風はもう完全に秋。五月以降の天候相場もいよいよ最終節をむかえようとしている。

天候相場はもう終わった。あとは需給相場だという意見もあるが、必ずしもそうとはいい切れない。

まだこの月中は早霜、長雨によって作柄が急変することが多い。とにかく完全に懐の中に入ってしまうまでは海のものとも山のものともいえないはず。野球でも一番面白いのは九回裏の逆転満塁ホームランで決着のつく試合だ。買い方にもまだまだチャンスが残っている。

また、相場のリズムからいっても、反発すべきところにきているのだが、すぐさまダレてしまう。

その原因は証券市場の不振、それに粗糖を除いた他の全商品相場がこのところ全く不振で、よいところの全然ないのが影響している。

結局は深刻な金詰りで、仮需給が極端に萎縮しきっているのが根本的な原因であるとすれば、小豆、手亡もしれ自体の材料で動けないわけである。

また、この二、三日北海道の天候は上々とはいえないが、平均気温は高く、十勝を除いて各地の作況は平年作に近いところまで回復していることも戻り売り人気を強くしているのだろう。

こうしたことで、とかく弱気、売り人気が優勢であるが、ここは人気の裏が近いと見て反騰に期待したい。

まず証券市場も反発に転じてきた。業者も投機家も今度のきつい下げ代用証券の目減りがひどくアップ、アップしていたのだから、この反発は穀物市場だけでなく、商品市場全体へのエネルギーの補給となりうるはず。

次に小豆についていえば、昨年の八月末の在庫は国産、輸入物あわせて七十六万俵あったのに、今年は四十四万俵。

去年の実収は百九十万俵であったのに対し、今年はせいぜい百四十五万俵とされている。そのひらきは大きい。こんなことは皆が知っていることだが、今はそれが無視されている。

もう一度売り込めば急反発という場面になるだろう。

●編集部注
 実際にそういう場面が出現した。

 しかし、そこが大底ではなかった。

 7月末から始動した絶叫マシンは、まだ稼動している。最後の最後でガクンと来る。

【昭和四九年九月六日小豆二月限大阪一万六五〇〇円・三八〇円安/東京一万六五五〇円・四五〇円安】