昭和の風林史(昭和四九年三月四日掲載分)

大勢買い一貫 押し目は大歓迎

人々が思っているほど深くは押さないと思うが仮りに押しても大勢強気方針に変わりはない。

「春めきてものの果なる空の色 蛇笏」

この分ともう一、二本原稿を書いて、しばらく日本を離れる。

日曜の夜に香港に着く。月曜はバンコック。バンコックで二泊してハジャイ、ペナンと足を伸ばしていく。

新聞を行く先々のホテルに送ってもらう事にしているが四、五日かかるようだ。

むこうで書いた原稿も送る予定であるが、やはり四、五日を要する。電話で相場を聞いて、持っていったケイ線を引き引き原稿を電話で送る方法もあるけれど、マレー半島から小豆の相場でもあるまいと思う。

羽田には、お見送りに行きますよ―という人が多い。来てもらっては困るような事はないが、五色のテープを投げるような情緒はない。飛行場で飛び立つ飛行機を見送るほどつまらないものはない。

送る側は、離陸したあと目の前で火を噴いて飛行機が墜落しないだろうかと心のどこかのすみのほうで思ったりするか、ハイジャックにでもあえば面白いのに―。そういう顔つきで、レストランに入って麦酒など飲んで帰るものである。

さて相場のほうだが二日が第一土曜で商品市場は休会。

新ポの引け味は、重いようでもあり、重くないようでもあった。

七千円という値段にこだわっている相場である。

今週は押すだろうという見方が多い。

そうなると、相場なんて皮肉に出来ているから、人人が思っているほど押したりはしない。

一番理想なのは一万五千七百円から一万七千三百円の圏内で高かったり安かったりする事だ。

筆者は留守の間もし大幅安などあったとする。

この場合、どんなに安くても千円押し、ないし千五百円押し。押したあと必ず反撃に転ずる相場だから間違っても弱気してはいけない。

むしろ、安いところの七限、八限を仕込みたい。

筆者の留守中、もし相場が早くなって爆発高などあるとすれば一万八千円近辺。一月大発会に六月限が付けた値段あたり買い玉利食いして様子を見たい。

いずれこの相場は天候相場にはいって二万円台の展開になる。

大勢どこまでも強気。

●編集部注
英国では、この年の二月に行われた選挙で保守党が破れ、首相がヒースから労働党のウィルソンに交代する。

敗れたヒースは政治家であると同時にロンドン響の指揮者として、ビートルズの『タックスマン』の歌詞にも登場する人物としても有名である。

【昭和四九年三月二日小豆八月限・休場】