昭和の風林史(昭和四九年一月二四日掲載分)

節分底を言う 投げた所が底値

手亡が下げ止まる地点に来ている。手亡が止まれば小豆も止まる。弱気も多少ふえてきた。

「寒灯に柱も細る思ひかな 虚子」

小豆相場は先限で一万四千円台があるだろう―という見方がふえている。

男子三日見ざれば忽然たりと言うが、三日見ぬ間の相場かなS安三発分の三・七は二千百円下げ。

七千三百円幅(先限引き継ぎ)を騰げて、その半値押しなら三千六百五十円安、即ち六月限で一万四千二百二十円という事になる。

ここに来て京橋の脇田商店の手が冴えている。臥薪嘗胆、石を抱きて地に伏して、株(くいせ)を守りて兎を持つこと幾歳月。今にしてようやくその挙動が市場注目の的となった。

昨年活躍した仕手機関店に主務省の検査が入っている事も相場を無気力にしている。

仕手本尊は引かされ玉を抱いて目下静観している組と、肩代わり接近を言われながら散発的に買い下がっている組とがあるそうで、いずれにしても時局柄その動きは制約される。

阿波座方面軍は水に落ちた犬は石をぶっつけろの毛語録ではないが、キャンキャン惨惨組と第一のような、うまくいっているところとあって、一概にどうこういえない。

ともかく投げるに投げられない高値掴みの玉がまだまだ残っている。日柄的にも節分(二月三日・日曜九紫)あたりまで駄目だろうと早く見切るが勝ち。ドテン売りに回る人もあった。

まあ、相場はそういうところで、ここは下げるだけ下げておけば主務省も奇声を発することもなかろうし市場も先に行っての天候相場まで楽しみの寿命が伸びるし、仮りに半値押しの三千六百五十円安なら、次に出直れば、その倍打ち返しで二万一千五百円が可能になる。

考えてみれば物は売れないし、消費地在庫は潤沢だし、豊作のあとだっと。

それを仕手介入、インフレ、物価高、石油危機、輸送事情悪などで買い上げてなお上を見あげてごらんと手を伸ばそうとしたが好事魔多し、月に叢(むら)雲、花に風、黄梁一炊の夢となった。

ともあれ商品業界全般が、どこかで毒気にあてられた感がする。そういうときに小豆だけが高水準を維持するわけにもいかない。

しかし手亡も止まるところだ。手亡が下げ止まれば小豆は強烈反発だろう。

●編集部注
 一騎駆けは戦場の華。 上昇相場は株式の華。

 そして下降相場は商品先物取引の華といえる。

【昭和四九年一月二三日小豆六月限大阪一万五七〇〇円・五〇円高/東京一万五七一〇円・五〇円高】