昭和の風林史(昭和四九年一月二六日掲載分)

熱烈反騰歓迎 整理完了再出発

止まったとなれば買わねばならない。きのう勤王、あしたは佐幕、その日その日の強弱稼業。

「冬にまたもどりし風よ白魚鍋 万太郎」

かなり弱気がふえて相場は手亡から止まった。手亡が止まれば小豆に下げ余地がない。小豆の線型は押し目完了型。下げたあと安値で線が重なる。

注目されている京橋の脇田米穀の手が売り玉利食いして逆に買い建てに転じ、当たり屋にちょうちんがつく。

先限の下げ幅は大阪で二千二百二十円。八万八千八百円替えである。数字が並んでゾロ目だとかスリー・カードなどと喜ぶのはギャンブラーである。

下げている最中に出来高が増大した。

投げと新規売りが目に付いた。灰汁(あく)が抜けたという見方も出来る。

しかし、社会情勢から考えて、下げ終わったからと、すぐに荒々しく上昇していくのは感心しない。

下げ幅の半値、即ち千百十円戻し。六千七百六十円あたり、18日のS安引けと21日の寄りのあいだに空間窓がある。これを埋める地点。

そのあたりまでくればまた強弱がつく。

戻り売りだ、いや押し目買いだ―と。

相場は売られながら上げていくのが一番怖い。どこかで蓄積された売り玉が爆発のエネルギーになるからだ。

ここで千円幅を戻すと、市場人気は一変して陽気で明るいものに変わる。

下値の限界を見た。下げ余地がない。前途に予想される冷害凶作。

本年は、どこまでも異常天候が尾を引いて、影のようにつきまとう。

しかも輸送事情、作付け面積、仕手動向という材料に事欠かないから下値の限界が決まれば、煉瓦のようなお札の束がゴロゴロ転がっているみたいなもので、遠いところからも投機資金がこれに目をつける。

蟻の蜜に集まるが如くというが、投機資金は独特の嗅覚を持っていて、冷害型だ、凶作予想だ―となれば小豆市場にどこからともなく集中する。

なまじ小豆のクロウトは再び売るだろう。

値ごろにとらわれ、在庫に魅入られ、魔力に吸い込まれたように売る。手の平に男一代売ってはならぬと墨黒々と書いておいても売ってしまうだろう。だから相場はなお高い。

●編集部註
 古人曰く、大衆は全て間違っている―。

 相場の下げの背後にクロウトの存在をハッキリと認識している筆致。
 
にもかかわらず、抗う姿勢をどう見るかである。

【昭和四九年一月二五日小豆六月限大阪一万五五七〇円・四三〇円安/東京一万五四七〇円・三八〇円安】