昭和の風林史(昭和四九年一月二八日掲載分)

とどいた感じ 期待される如月

駄目を入れて、完全にとどいた感じの小豆だ。手亡も下げ余地がない顔つきである。

「冬梅の既に情を含みをり 虚子」

小豆相場は駄目押しを入れた感じだ。

手亡相場も一万五千円どころは頑強な抵抗がある。

市場では弱気がふえたが、巧者筋は、この相場、節分底になるだろうと見ている。

北海道は豪雪を伝える。雪害といえば昭和三十八年一月17日~27日の東北、北陸、近畿、中国、四国にわたり死者二百二十八名、傷者三百五十六名を出した災害が思い出される。

この年八月には九州で豪雨による大きな水害があった。

雪害は交通機関の機能を止める。

これからの北海道の天候が注目されるのは春耕に影響するからだ。春の雪解けが遅れる。

そして二月以降は全国的規模の交通ゼネストが控えている。物流面が麻痺する。

49年度の第一ラウンドはもう終わる。去年の暮れの勢いのまま第一ラウンドを展開すれば息が切れていただろう。適当に下げ、高値因果玉を整理して、第二ラウンド以降に準備した。

思うに今年の穀物市場は去年とはまた異なった性格の仕手戦が展開されるだろう。

今でこそ物不足の危機感が消え去ったかのようであるが、これが再燃することは火を見るよりも明らかである。

そして異常天候という現象は沈黙の材料だけに無気味だ。

冷害、旱ばつ、水害、なにがくるか判らない。

それは北海道だけの問題でなく世界的なものだけに怖い。人類は一歩一歩食糧危機に直面している。

さて、相場の気味(あじ)だが、止まった。カチンと音がした。強烈出直りの前夜を思わせるものがある。期近限月の一万二千円は予想外に頑強である。

新穀限月の一万五千円は完全に地相場化している。

これを売って叩いてみても逆に相場を強くするだけである。

また、投げるべき玉が投げきっていないとも言うがそれらの高値掴み玉は仮りに今の水準から千円、二千円下げたとしても投げる玉ではないと見たほうがよい。

それは冷害・凶作に賭けた狂信的信念の思惑玉であるからだ。むしろナンピン買いするだろう。

●編集部註
確かに異常天候という現象は不気味である。

漠然とした不安を世情や相場に与える。

凶作に買いなし、豊作に売りなしというのは、そうした漠然とした不安に迂闊に乗らずに、冷静に相場を見なさいよ、というアフォリズムの一種なのではないかと思う。

【昭和四九年一月二六日小豆六月限大阪一万五七七〇円・二〇〇円高/東京一万五六三〇円・一六〇円高】