昭和の風林史(昭和五十年二月二二日掲載分)

強さを確認す 買ったまま待て

相場は閑だが手亡など、その地合いは非常に強いものがある。強気したまま春暖を待つところ。

「提げて来し壬生菜の雪をはらひけり 冬水」

三日ばかり上京していたが都内のホテルというホテルは受験生のため、いずこも満室。新幹線も親子づれで満席の状態。

業界では法改正を目前に控え多忙だった。全商連は全商連好みの泥縄式一般紙記者会見。参集いただいた方々にお昼を御馳走する予定だったが、そういう接待があるのなら出席しないという申し入れがあり、事務局日ごろの怠慢が露呈された。

全協連のほうは例の一〇〇%共同補償の各論についての会議。新法では一〇〇%完全分離保管を選ぶか、共同補償を選ぶか、取引員は選択の自由があるように思えるが、主務省側や、全協連首脳陣は全取引員揃って共同補償のほうで行って欲しい。

いや、当社は一〇〇%分離保管で行きたい―という取引員がかなりあるため、纏め役の全協連当局は難儀である。

雪の降る21日は〝繊流研〟という繊維取引員協会の政治団体みたいな会が代議士先生を集めての朝食会。法改正には、なにとぞよろしく。その見返りに総選挙も近いと聞く。わが業界の全協連には共同事業の予算があって、選挙資金もここから出せる―という高度な話。

そうかと思えば来月の連休に韓国の公認賭博場の開設何周年記念かで、わが商品業界の各社成績優秀社員およそ二百名の団体を編成して乗り込もうという計画も進んでいると聞く。

まさか全協連の共同事業の一環ではあるまいが、業界では、いや読売新聞の広告の件もあるので、全協連が予算を出すかもしれないね、と良識を疑うような冗談も聞かれ、それならいっその事、共同補償方式でやればいいじゃないかと話が飛躍する。

それやこれや、あるいはアウトロー・セールスの移動や、無登録セールスの白昼堂々の跋コなど、業界首脳者のタガがゆるむと一夜にして無政府状態になるなど、憂慮すべき事どもである。

その間、相場のほうは時間調整中。大勢としては小豆、手亡ともに買い方針であるし、手亡などその地合いは非常に強いものがあって、まさしく一触即発。相場が閑なあいだは業界の事など買いて待とう。

●編集部註
 成績優秀セールスが、ご褒美で賭博場のある外国へ旅行するという風習は、平成でも残っていた。

 古今東西を問わず、タガがゆるむと何処も同じという事は映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観ていると判る。

【昭和五十年二月二一日小豆七月限大阪一万六八五〇円・一五〇円安/東京一万六九九〇円・一五〇円安】