昭和の風林史 (昭和四九年七月三日掲載分)

市場の常識は先限二本の買い

小豆、手亡とも先二本は買っておけば楽しみが残るという人気である。これ市場の常識である。

「梅雨の日のただよひありぬ油坂 三鬼」

小豆の作柄は十勝地方も中間地帯も低温障害と日照不足で草丈低く、根張りも悪いと伝えられ、まず平年作は無理な状態と言う。

この遅れている作柄を平年作まで回復するには七月上、中旬、少なくとも十日ほどの高温と日照りを必要とするわけだが、札幌管区気象台が七月一日発表の七月の天気予報によると依然不安定な天候が続きそうだ。

さて、そこで相場の面であるが、現実の異常天候、作柄悪が、どのように反映されるか。

新穀限月の十一、十二月限は早晩二万円台のものである事は、今や市場の常識である。ただ、輸入の発券という材料が控えていて、その時は買い場をつくるであろうが、わが買い建て玉に強いショックを受けたくないのが人情。

従って、出るべき材料が出た時点から本腰据えて買って行っても充分に間に合うという考えがある。

言うなら警戒人気が強いのだ。

警戒人気が強いという現象は天井圏内ではないと判断する事が出来る。

市場が冷静な時は相場は絶対に天井しない。

その限りでは今の小豆相場の先二本も手亡相場の先二本も、逆に安心買いしてよい地点だと思う。

一方、旧穀限月は、不需要期、実需不振、在庫圧迫という冴えない環境下にあって一万六千円と七千円の間の小高下が続いている。

小豆相場を取り巻く実勢面の環境は、まったく悪いと言えるわけだ。

そういう事から大勢的にそれが新穀限月でも、天候悪で人気化して湧いたところは長期的に売り上がっていけば判りやすく、本年の相場を大きく取る事が出来る―と売り上がりの方針を一貫する相場師もいる。

強気する側にすれば新穀に勝負を賭けるのは当然であろう。

ここのところに今の相場の難しさがある。

新穀と旧穀とを完全に分離して方針を建てるか、それとも新旧とも小豆は小豆だ ― と見るべきか。

それらは、もう少し様子を見ておれば判然としよう。先二本を場勘戦争に持ち込むことが出来るか、あるいは天候悪でも伸びが鈍い相場になるか。一般的には押し目買い人気だ。

●編集部註
目前に嵐が迫っている。

当時の相場の事を言っているのだが、相場だけではない。七夕に豪雨になったり、横綱が二人引退を表明したり、この年のこの時期は奇妙な事に世情が揺さぶられた。

【昭和四九年七月二日小豆十二月限大阪一万八六一〇円・変わらず/東京一万八六〇〇円・変わらず】