昭和の風林史 (昭和四九年六月二二日掲載分)

反落後が難解 目先売りで勝負

一瞬の間に勝負はついた。居合い抜きみたいな勝負だった。大反落すると見る。売り場面。

「金魚大鱗夕焼の空の如くあり たかし。

原稿を書き置きして出張しているあいだに相場が変わってしまった。

産地天候不順、長期予報悪し、仕手筋の巻き返し、それと総悲観の売り込みという取り組みに火がついてS高二連発。

新値抜けから、売り方動揺しての踏み上げが壮烈である。

さて、ここは強弱の岐路である。

七千円を大底として、新しい大型の相場に発展していくという見方。

逆に、ここで気分一杯買ってしまえば、反落は、きついものになろう。

二万円相場の展開は、まだ早すぎるという見方。

確かに産地の天候は悪い。あきらかに日照不足だし、帯広測候所の発表した〝十勝は冷害型の気象〟という情報資料も無視する事は出来ない。

しかし、だからこの相場は二万円だ、二万三千円だと今すぐ結論を急ぐわけにはいくまい。

筆者は21日のS高で踏み一巡、買い方の利食いで本年初めての天候相場らしい剣を抜くところを見る思いがした。

これは居合い抜きだ。いままで有利に展開していた売り方が斬られた。油断していたからだ。

閃光一閃の、第一回の勝負は終わったと見る。

次は輸入ワクの発表という問題が控えている。

場面は売って行くところか。それとも押し目買いのところか。

在庫は豊富だ。品薄からくる怖さはない。あくまでも本年産作柄の天候相場だ。

その天候も、今後の推移によってどう変わるか判らない。

買い方は、急所で一撃を与えたわけだが、これまでに随分苦しんできた。ほっとして利を抜くところだ。

勝負手なら噴き値売りだ。大暴落ありと見るべきではなかろうか。

判りやすい大相場、それが大上げにしろ、大幅崩れにしろ、もっと先に行ってからになりそうに思う。

序盤戦から大軍を投じる事はない。

踏むものは踏み、利食う者は利食う。そして新規飛びつきと、新規売りとの新しい取り組みが出来る。反落して一万八千二百円当たり相場を難解にしよう。

●編集部註
古今東西、上下どちらかに相場が吹っ切れる時の死者の数はその時の楽観論者の数に比例する。

相場はなァにたいしたことはないさ、とタカをくくっている人が多ければ多いほど厳しくなる。

【昭和四九年六月二一日小豆十一月限大阪一万八八八〇円・七〇〇円高/東京一万八八七〇円・六九〇円高】