昭和の風林史 (昭和四九年六月十二日掲載分)

〝死にそうな程 閑になりよるぜ〟

証拠金を下げるという事は、よい事である。取引所は状況に応じてテキパキしなければ…。

「梅雨の日のただよひありぬ油坂 三鬼」

売り方の利食い、それと値ごろ観の買い物が千円も下げてくると入る。

しかし、相場の基調が転換しない以上、戻しても再びなんかするのが普通である。

現在の相場の基調は①実需不振②仮需要停滞③降霜懸念の解除④在庫圧迫⑤金詰まり―などから、価格上昇は望めず、先安見通しである。

従って、それらの要因が好転するか、値段が崩れ落ち、安値安定地帯にはいるまでは、少し戻しては再び下げ、下げては小戻しまた安いという繰り返しになる。

強気する側の立場に立てば、異常天候下の天候相場。一度や二度の手に汗握る場面もあろうし、生産者価格の上昇。また高騰する米価との比較。あるいはガス、電力、国鉄運賃などの上昇という背景。そういう状況下にあるという事を考えるわけだ。

筆者も、それはそれでよいと思う。

ただ、あまりにも早くから買いすぎた事。万人皆強気になってしまった事。

その反動が、実需不振という現実の材料と重なっていま出現しているだけで、これが総悲観人気でベタ売りの取り組みになり、しかも誰が見ても安すぎると思う値段にくれば、再び反騰大逆襲してこよう。

それにしても三日新ポ月は気をつけないといけない。昨年九月の三日新ポ月は〝黒い九月〟の全商品大暴落。十二月はそうでもなかったが今月の諸商品相場の惨状を見るにつけ魔の三日新ポなどという言葉が出来るかもしれない。

さて、当面の小豆相場の戻り場面は売りでよいと思うが、気の利いた戻りを入れるだけの力があるだろうか。

見ていると、なんとも閑になりそうに思える。

千円下げたものを売っても―という考えと、強気してみてもすぐには出直るまいという考え。自然、手が出ない見送り商状となる。

関西のほうは梅雨に入って、現物の売れ行きがなお一層悪くなる。うっとおしい天気、閑な相場、どうにもやりきれないところであろう。

逢う人ごとに、どうなんです、さっぱりですな―という挨拶では、ほんまに往生しよるで。

●編集部註
 昭和四九年六月相場は、上旬、中旬、下旬で相場の風景がまるで違う。

 その上で、この時投機家や一般投資家、取引員、さらには相場記者がどのように考え、動いたかを知る事は勉強になる。

【昭和四九年六月十一日小豆十一月限大阪一万七一七〇円・一七〇円高/東京一万七一二〇円・一三〇円高】