昭和の風林史 (昭和四九年六月七日掲載分)

相場零落して 凄惨また涙あり

その時、相場は決然と下がる。先限一万六千円割れもあろう。付いた値が相場ということ。

「のぼりゆく草細りゆく天道虫 草田男」

早くから強気していたクロウト筋が、高値掴みの買い玉可愛いで、未練のテープが切れず、低温頼みにズルズルと強気してきた。

一方、大衆筋は弱気が多く、この相場、売られているから下げにくい―という見方がなされていた。

しかし、天候のほうは、〝発芽期の降霜なし〟という予想が支配しだし、加えて五月末の需給数字を、あらためて見直したわけである。

品物は売れない。在庫はふえる。完全に供給過剰の小豆である。

これじゃ、買えん。強気する火の種がない。

相場の世界は「需給に勝る材料なし」だ。

仕手相場、天候相場においても、最終的には需給がものを言う。

まして金融が詰まったままの経済社会で、投機思惑をこころみる仮需要は湧かない。

人気は冷めているのだ。

物理的な面では、窮屈だった東京都内の各倉庫は繊維雑貨類が移動して、かなり楽になった。

倉庫会社から『スペースが空きましたから、どうぞ』と言われるようでは、産地からの移出も積極化してこよう。

それは、第一段階における天候の心配が薄れたことと、先安懸念による売り急ぎ。この二つの心理的変化によるものである。

そこで下値を予想すれば、当面十月限の一万六千円。九月限の六千円割れ。新穀十一月限の七千円割れ。あと発芽順調→成育順調→天候不安なしとくれば、この時相場は総崩れしてくる。積年の疲労一挙に現われ先限一万五千円も、付いた値が相場となる。

期待して悪いことはないが、過ぎたる期待が逆の効果を呼ぶ結果になったわけだ。

だがこれも、悲観のしすぎは、いずれ反動を呼ぶことであろうが、それはもっと先の事。

いずれにしても線型は悪いし、人気は冷めきっているし、供給は過剰。まして天候が、そっぽをむいては、なんで相場、上がろうか。

相場相場なぜ下がる。

あんまりお天気よいので下がる。下がれ下がれズンズン下がれ。

●編集部注
この時代、世界はまだ色々と鬱屈している。

この週、泥酔した観客達が大勢で球場に乱入。試合を妨害して没収試合になる。

甲子園の話ではない。大リーグでの話だ。

【昭和四九年六月六日小豆十一月限大阪一万七五九〇円・一〇〇円安/東京一万七五〇〇円・六〇円安】