二万円時代だ 高値更新は確実
乗ってしまえば、なんという事もない。乗せてしまえば騒ぐこともない二万円台大台である。
「座について供養の鐘を上げたり 虚子」
農林省調べによる北海道の小豆生産者の反当たりコストは次の通り。
生産者 反収・俵
44年 一三、〇三一円 一・九八
45年 一四、〇三一円 二・五八
46年 一五、〇三七円 一・二三
47年 一七、一一四円 二・九〇
48年 一九、〇〇〇円 二・九〇
(48年は推定)
49年 二五、六五〇円
本年は昨年の三割五分アップと見ている。
生産コストは年々大幅な上昇を続けているのに、収穫した小豆の上値を抑えたり、古い昔の相場のみを固持している人は、時代に取り残されるだけではなく相場で大損したりする。
今年の収穫予想は、一・六俵。これは、ある調査機関が毎年行なっている帯広の積算気温から割り出した推定である。
仮りに一・六俵の収穫で農家の手取り一俵二万円(という事は定期二万二千円)の相場で売れたとする。
二万円掛ける一・六俵は三万二千円。三万二千円引く生産コスト二万五千六百五十円は六千三百五十円。
反当たり六千三百五十円じゃ馬鹿馬鹿しくて小豆なんかつくれるかい。
それでは手取り二万五千円(定期二万七千円)で売れたらどうなのか。
それでも一万四千四百円の純益でしかない。
十反で十四万円か。いまどき入社して一、二年のサラリーマンでも一カ月にそれぐらいはもって帰るだろうに、おいら朝も早よから畠たがやしてよ、トラクターの尻ひっ叩いて五月種蒔きから九月収穫まで心配しつづけて、やれるかい二万円以下の相場で―となる。
二・九俵収穫の48年豊作でさえ一万六千円以上の相場が出現した。
仮りに昨年産小豆を一俵一万五千円で売って前記生産コストを差し引いても反当たり二万四千五百円の純益が出た。
小豆は投機的色彩の濃い農作物だが、これだけ異常天候の言われる年に二万円以下の相場など殺生だ。
というわけで、これからは無条件二万円時代に入っていくと思う。
市場は、まだまだ二万円大台に対するアレルギー反応が強い。しかし、それもこれも、なれである。乗せてしまえばなんということもないのだ。
●編集部注
この年の四月二一日に中華民国(台湾)が日本との航空路を断絶。天候も異常だが、世界情勢も異常な事が続く。
【昭和四九年四月二三日小豆九月限大阪一万六九九〇円・二八〇円安/東京一万六八六〇円・二六〇円安】