昭和の風林史(昭和四九年四月十六日掲載分)

前夜祭の血祭 待望北海道10限

抑えられていたものが吹き飛んだという明るいムード。小豆は強弱無用。大相場の前夜祭。

「花辛夷よごれそめたる白さかな たけし」

空に鯉幟がひるがえり、スト明け後のお天気は、まさしく風光る初夏である。

筆者は、ハルピンの五月の話を聞いたことがある。

雪に閉ざされていた北の国の都は一夜にして見わたす限りの花が咲き、満目緑なし、自然に、踊りだしたくなるという。

赤旗なびくメーデー。五月一日が労働者の祭典になった、よってきたるべき背景を、その話を聞いた時、知ったような気がした。

スト明け後、それまで押さえつけられていたものが吹き飛んだ。

小豆相場は夜放れ高。天候相場には早いような気もするが、仕事にならなかったスト中の遅れを取り戻そうという気の走ったムードが市場を支配している。

この日、前場一節で八、九限に大石六十枚、百三十一枚の買い手口が目についた桑名筋の積極的な動きだ。

取引員としては、総じて売られた取り組み(静岡筋が投げた地点を、充分に売り込んでいる)をスト中に煽られては追証取りの足に困ると心配していたが、もう大丈夫、ここは踏み上げ結構、今までの商い不振を一挙にカバーしようと積極姿勢。

今週末20・21日が二連休。そしてすぐにまた28・29日が二連休。それに続いて商品界は3・4・5・6日と四連休が続く。陽気にいこうぜお休み中は―というわけで、銘々勝手に走り出した格好である。

さて、この相場が一巡イレ尽くせば、押してもこようが、来月新ポの北海道市場に登場する〝颯爽の新々穀10月限〟―これがキーポイントである。恐らく凶作予想の前祝のいけにえの血祭に〝種もまだ蒔かぬ颯爽の新々穀〟限月をゴー・ゴー・ムードで買ってくるだろう。

消費地五市場は六月新ポから十一月限新穀が建つ。例年、この限月は目の玉から火が飛ぶようなサヤを買うもので、それが全限月を強烈に刺激する。

されば、当面、押し目があろうと、その押し目は買い場にこそなれ弱気してはいけない。

われわれは待望久しき再度の大相場到来を前にして燦然と輝く前進の旗をふる。竿頭には黄色いリボンがたなびいている。

さあ行こう。

●編集部注
この年の四月二日、フランスのポンピドー大統領が急死。その七カ月前、彼は当時の首相田中角栄と約束を交わしていた。

この記事が掲載された週に、その約束が実現。ルーブル美術館からダ・ヴィンチの『モナリザ』が初来日した。

【昭和四九年四月十五日小豆九月限大阪一万七五一〇円・三七〇円高/東京一万七四四〇円・二九〇円高】