昭和の風林史(昭和四九年四月十五日掲載分)

終局現物投資 張付け天井後

日本陸軍の切り札は抜刀隊の突入だったが、本来小豆の最後の栄冠は張り付け天井後の現物投機だ。

「金三日月飛騨の祭に光添ふ 美作」

小豆相場は決め手難。

押し目が入ってよいところに来ているが、三百円押し、五百円押しを待っている人が多いようだ。

押し目待ちに押し目なしで、それでは先に上値があるのか?といえば、一万七千五百円→八千円を付けるだけの熱気も迫力もまだない。

理屈では、高かるべし。高値出現必至の相場であるが、時期的に、もう少しそれは先になりそうだ。

交通ストによる後遺症や、行楽、節句の需要。あるいは東京都内の倉庫事情の悪さなど材料としては買い方に味方するものが多いけれど、まだ実感となって相場に直接はたらきかけない。

やはりそでは金詰まりという現実面からのマイナス要因が、相場を燃えたたさないのかもしれない。

では、先に行ってどうかという事だが、まず賃金の上昇、電力料金の引き上げ、国鉄運賃の値上げ等、物価は再び上昇に転ずる事は見えている。

口では金融引き締めを続行すると政府当局は現態勢を崩さぬ方針を強調するが参院選挙ともなればやはり政治的配慮がされよう。

諸物価に比較して小豆の価格が高いか安いかはこれを生産する立場あるいは投機思惑をする立場によって違うだろうが、48年産小豆の反あたり生産コストは一万九千円という数字が出ている。今年はこれに35%アップと事情通は見ているから反当たり二万五千六百円となる。

本年さん小豆は、生産費、運賃諸掛かり等を逆算して仮りに平年昨二・四俵収穫でも消費地一万八千円相場(農家手取り一万六千円)でうま味はない。それが天候不順等で不作予想反収一・六俵なら定期三万円相場でも生産者にとっては面白くないわけだ。

まあ、そういう事は投機家の机上の計算としても本年が不作なら、恐らく現物価格は史上最高値を付け、定期市場は二万四、五千円で張り付けとなろう。

定期市場が上限価格をはめられた時こそ現物手持ち筋の活躍場面だ。

幸いにして48年産小豆の品質は上々である。本年の小豆相場は現物投資が最後の栄冠を得るだろう。だが今はまだ定期時代だ。

●編集部註
 今日の高値は明日の安値、という格言がある。

 買えない相場は強い。

 儲かる相場は退屈で、利が乗っている時ほど、ついいらぬ悪手を仕掛け、自分を死地に追い込む。

【昭和四九年四月十三日小豆九月限大阪一万七一四〇円・一二〇円高/東京一万七一五〇円・一八〇円高】