警戒強いため 相場の寿命長い
スト明け後の来週あたりから小豆本来の活発な動きに入りそうだ。押し目買いの姿勢。
「ゆく春や逡巡として遅ざくら 蕪村」
反当たり小豆の生産コストは昨48年で一万九千円台になっていると農林省の調査で判明した。
今年は恐らく二万円台になるだろう。
昨年の小豆の反収は二・九俵であった。
一俵あたり手取り一万五千円で農家が売却して反当たり四万三千五百円。
ここから生産費一万九千円を引くと反当たり二万四千五百円の収益となる。
今年は(予想)積算気温などから逆算して反当たり一・六俵という不作が予測されている。
昨年並みの反当たり四万三千円の売り上げを得ようと思えば一俵二万七千円で売らなければならない。
しかしそれでも生産コストが二万円台に上昇しているから収益は昨年より落ちる―という計算が成りたつ。
帯広から東京に小豆を商品として売却する場合、運賃諸掛かり込めて一俵二千二百円を要する。
従って農家が手取り一万五千円を欲するならば定期一万七千二百円の値段が欲しいわけだ。
仮りに今年の反収が予想されている一・六俵で、生産者が前年並みの収益を得ようと思えば、消費地相場三万円で売っても、まあまあというところだ。
一俵三万円などというと農林省のお役人は腰を抜かすかもしれないが、帯広の生産者は、なにぬかす―というだろう。
シンガポールあたりでゴム相場の投機家をペーパー・ラバーという。この式でいうと小豆の投機家はペーパー・レッドビーンズである。投機家の机上の計算では三万円相場もあり得るわけだが、市場の規模や市場の要因等、諸般の情勢を配慮すれば二万五千円あたりが妥当な本年の高値目標になりそうだ。
現在、天災期限月本命の七・八・九月限三本を対象に長期的投機を展開している歴戦の人々は一万七千円や八千円を意識していない。そのような値段は眼中にないのだ。
もちろん今現在は一万七千円ラインを意識した動きがあるが、七千円抜けからの力をためていると見るべきではなかろうか。
スト明け後の来週の相場から、いよいよ小豆本来の激動場面を迎えそうだ。
●編集部註
この年の四月十一日、ヒーローが誕生した。
WBC世界ライト級タイトルマッチ。そのボクサーは〝三度目の正直〟で王座を獲得した。
ガッツ石松である。
【昭和四九年四月十日小豆九月限大阪一万七〇〇〇円・一三〇円高/東京一万七〇三〇円・九〇円高】