昭和の風林史(昭和四九年四月十日掲載分)

日柄浅く若い スト明け後奔騰

最大の山場〝天災期〟を控えて小豆はゆるむことがない。押せば玉を仕込もうという市場だ。

「春深し踏まじとすれど踏む苔の 三汀」

交通ゼネストでも全国の商品取引所は常に変わらぬ立会いを行なう。

この事についていろいろな意見がある。証券取引所は立ち会い開始時刻を延刻したりするが、商品市場のほうは各市場独自の時間繰り下げは諸般の事情で難しいというのが理由のようだ。

各市場の穀物、三市場の綿糸、毛糸、二市場のゴム、そして砂糖、横神の生糸と次々に市場はオープンする。

単品取引所は関係のない事ながら、デパート式取引員は少し商いが長引くと、二ツ、三ツの商品立ち会いが重なる。

それは、充分に計算されて決められたそれぞれの取引所のオープニングだけに、たとえストライキの時でも立ち会い時刻を変更したりする作業は、甚だ難しいのだ―と聞いた。

いうなら、これは全商連段階での作業である。

全商連というところは、業界人なら誰でも知っているがお役所のなれの果てが事務局を掌る。彼らに、緊急時の早急な対策を求める事は、明らかに酷である。その能力、その権限、その責任、いずれの面から見ても望むべきではない。

だから、商品取引所はスト時であろうと立ち会い時間については、神戸の坪野光男理事長が神戸穀取の時間繰り下げぐらいならやれるだろうが、古ぼけた大阪三品や化繊、あるいは三木滝蔵氏去ったあとの神糸、意見がいつも合わない六ツの穀取、機能を放棄して恥じる事なき砂糖取、超然と構えている東繊取、その他発言力弱く、また他取引所の出方待ちの取引所等が、あえて独自の行動に出ることはあり得ない。

故に取引所の市場関係者および取引員の市場要因は朝もまだ暗いうちから家を出るか、経費がかかろうと前日より宿泊して汝の職務に忠実たれ。

小豆のほうは七千円ラインがまだ気になっている。利のある玉は、ひとまず利食いしておこうという動きもあるが、今後は、押しても深くはなかろうと、長期的投機の態度の人も多い。

いずれにしてもこの小豆相場は天災期という最大の山場を控えてゆるむことはない。日柄は浅いし相場は若い。

●編集部註
 少々口は悪いものの、悪意はない。あるとすれば憂いであろう。言い換えれば誠実な諫言である。

 これに対し運営側は〝風の吹く方を後ろに柳かな〟の如き姿勢。ならば風を強めるまでと舌鋒は更に鋭くなる。その繰り返し。

 このような構図は結局、平成まで続いてしまった。

【昭和四九年四月九日小豆九月限大阪一万六八七〇円・一五〇円安/東京一万六九四〇円・一八〇円高】