ふーりん東南アジアを飛ぶ ジャカルタ11日発 鏑木発信
★相模ゴム工業を訪う
マレーシア相模ゴム工業はイボーの広大な敷地に立つスマートな工場だ。この地は、もと錫の採取場だったのを三十キロ四方をマ政府が埋めたてして軽工場地帯に指定したものだそうで、その一角を占めている。
折りよく日本から相模ゴムの会長松川サク女史がマ相模社員の結婚式で当地に来ていた。明日が日本の吉日であり、また中国の吉日で、盛大な結婚式を挙行するとの事。
われわれは、首脳者一同の手厚い歓迎を受けたあと二班にわかれ大跡信郎社長その他の方々から説明を受ける。
説明によれば衛生スキンは国連あるいは人口問題に悩むマ政府等の大量買い上げがこの秋に予定され、生産が追いつかない状態。
大跡社長は工場内部のカメラは遠慮して欲しいという。もっともだと思った。
★老会長も説明役
婦人経済連盟理事長、東京商工会議所議員その他六、七ツの肩書を持つ松川サク女史は八十三才とも見えず、終始ニコニコして説明を続ける。
大跡信郎社長の奥さんがサク女史の娘さんでマ相模の営業部長。五十三才と聞いて、その若さと美貌に驚く。
工場の工程はステンレスのピカピカ光った哺乳器型を大きくした格好のものが機関砲の弾帯のようにつらなって(下向き)ゴム液の中を通過する。
そしてそれが槽の中から出てくると見事に薄いゴムの膜をかぶっている。
そのままそれが水槽の中を通っていく。ゴム膜にちょっとした穴があいていてもチェックされる仕組みだ。
水槽には電流が通っているから穴があいているとステンレスの哺乳器みたいな金属に電気が通り、欠陥製品はパチンと音がして摘出される。
次に乾燥機の中を通過する。クルクルまわる器械で哺乳器型の鋳型から製品がはずされ、ダランとした、だらしのない格好の製品が大きなダンボール箱に山となって積まれる。
★超ミニ美形の従業員
この工程の従業員は女子ばかりで、いずれも色は褐色や黒いけれど十六、七才の彫りの深い超ミニスカートの美人系である。
だらしなくのびている製品に天花粉のようなものがつけられ、両方から向かい合っている女子従業員のあいだを今度は上向き型に並んだステンレス製哺乳型がどんどん通過する。
彼女たちがひとつずつ、つまんでホイ、ホイと製品をこれにかぶせていく手つきはつい見とれてしまう。
われとなく見とれていると、さすが乙女だ。恥じらいの色を示した。
その機械が巻き取り器を通ると、クルクルと巻かれてポツンと先だけの出た、使用前の姿になる。これを包装機に入れてパックしていく。
★入念に製品の検査
最も重要なのは品質の検査だ。別の場所で一人の女性が製品に空気を入れてふくらませ、メーターの針をのぞき込み、両の耳に指を詰める。大きな風船が割れる時に音がする。メーターの針がどこまでいったかを記入する。五百単位か千単位かに一ツ抽出して強度を検査し、悪かったら工程番号のその全部の製品をボツにするそうだ。
少し離れたところで二人の女性が製品に水を注入して、子供が遊ぶみたいに両手でこれを抑えたり、ひねったりして、更に水を注入し、割れるまで検査している。
★なるほどカメラはダメ
なるほどカメラの持ち込みが禁じられた理由が判ったような気がした。
サイズは国際規定十七センチ日産十万個(と聞いたつもり)。
見学者一同、まことに熱心であるが神妙な顔つきだ。なんとなく神聖なものを見たという複雑な気持ちがあるのではなかろうか。
★貴重な日本酒を戴く
一行はおみやげにそれぞれ製品を一箱ずついただき、用意された昼食の会場に向かった。
大跡社長は清酒〝冨久娘〟を二本大事そうにかかえている。日本のお酒を難儀して入手したのだそうだ。これを皆で少しずつ飲もうというのだ。小生は生つばが出た。