昭和の風林史(昭和四九年三月九日掲載分)

実勢は買いだ 長期的強気方針

張りのない相場は仕掛ければ損である。しかし大勢買い有利であることには間違いないところ。

証券も商品相場もまったく活気を失ってしまった今週である。「何が彼女をそうさせたか」というと古い良き時代の映画の題名であるが、「何が相場をそうさせたか」ではサマにならない。

これはいうまでもなく、前月末からの政府の躍起の物価鎮圧策に相場がハリを失っているからである。

相場は生き物である。息をしリズムをもっている。それがハリを失うといくらご馳走が目の前にあっても体の調子が悪い時は食欲が湧かないように、相場も好材料を受けつけない。

小豆相場も五日の四大消費地の在庫発表で出庫が二八(ニッパチ)月というのに前月比三万二千俵増、昨年の同月と比較すると四万二千俵も多かったが、完全にそっぽをむいてしまった。

それに農林省が一万七千円以上になれば規制を強化する?という出所不明の情報も流されて売り急ぎ気分が強まり、ズルズルと無気力に値を消してきた。

実需好転、そして今年の場合ははやばやと天候不安人気の台頭という大きな支えもあるが、ここは当面、大きく相場が動くことは期待できない。

相場が相場的な材料で動かなくなった時は、それでもカッカして仕掛けると必ず損をする。

なぜ一万七千円以上が悪いのかといってみても始まらない。

しかしどう考えても大勢的には買いに分があるようだ。目先を売って相場のアヤを取りにゆこうとすれば、一度や二度は取れても三度目には失敗するだろう。

なんとなれば一万七千円という小豆の値段は現在の雑豆類の国際的価格水準からみて高いどころか安い部類に入っている。

昨年の今ごろまでは日本の小豆は「赤いダイヤ」といわれるだけあって世界で一番高い部類のものであった。それだから、中国、韓国、台湾はおろか、遠くカナダやコロンビアでも栽培されるようになったものだ。

だが、今ではほとんどの豆類の値段がトン当たり千㌦を突破しているとなると、一万七千円としても換算すれば千㌦以下の小豆を生産者が売りしぶるのは当然であるし、それをカラ売りしてもはじまらないのではないか。

●編集部注 
 ぼやいている。活気がないとぼやいている。

 現在の国内商品先物市場を見ている者からすれば贅沢なぼやきである。

 ぼやく気力も今はない。 

 多分端境期なのだろう。これから何かが変わる。

 そういえば、東商取がスタジオを作っていた。

【昭和四九年三月八日小豆八月限大阪一万六八一〇円・三四〇円高/東京一万六六九〇円・三五〇円高】