昭和の風林史(昭和四九年三月七日掲載分)

基調変わらず 僅かに軌道修正

基調は不変の小豆相場。押し目を入れてもみ合って。それで大型相場の楽しみが生まれる。

農林省の勧告、桑名筋の売り。本証改定案の早期実現説。

小豆相場は戸惑いの表情をうかべてどちらに行こうか―と思案中である。

五日の寄り付きで下に放ってきたのは肯けるとしても大引けの叩き込みは、強気にとっては嫌な気分であっただろう。気配としてはよくない。先限で一万六千円割れのあたりの小さな窓を埋めにいくのでは…、と誰しもが思うところ。

口には出さねど、だれかが農林省の一役人が奇声を発したからといって相場がどうにかなるものではないものの、これも時勢―と機先を制する効果はあったようだ。

やや浮き足だっていた売り方もニンマリ。

「天候不安や食糧難というが、明らかにハイペース。息切れというよりも、六千円台の小豆は気負って買う値段ではない。百万俵を越える産地供給力、高くなればつなぎの活発化と規制懸念。今年は、異常気象だと、人々は騒いでいるようだが、パイオニア方式(大正二年以来の統計をもとに北海道の気象を予想、昨年もその的中率は高かったという)によると、今年はそれほど悪くないという。買っても妙味がない相場だ」と、弱気陣営はがぜん威勢がよくなった。

さて、どういうことになるか。「突っ込めばまた買わねば」をおしなべて強気見通しを語る阿波座筋。

静観する静岡筋。

機をうかがう桑名筋。

「品物のよいヒネなら、こんな安い買い物はない」と倉庫巡りに忙しい現物筋。

「安ければ仕切りませんよ」と強腰の産地。

各人てんでばらばらの思惑を秘めているからこそ、相場に味とコクが生まれる。そして人気も気迷うところだ。もみ合いに入るか。ここから千円、千五百円のきつい押し目を入れるか。ともかくハッキリしていることは、基調の崩壊につながらないことだ。

いうなれば、わずかに軌道の修正、大勢に影響がないことだ。

相場は上げたり下げたりその間に勝手な強弱を垂れるが、要は資力と辛抱。辛抱する木に花が咲く。

安ければ安いなりに買い下がっていくものは悪くはない。

●編集部註
 辛抱に辛抱を重ね、その挙句に一行のみ綴って紙面を真っ白した前科のある人が〝辛抱する木に花が咲く〟と書く諧謔。

 これが紙面に味とコクを生む。読者はニタニタしながらツッコミの一つも入れていた事であろう。

【昭和四九年三月六日小豆八月限大阪一万六七六〇円・一六〇円高/東京一万六六五〇円・一八〇円高】