昭和の風林史(昭和四九年一月十二日掲載分)

玉の仕込み場 寿命の長い相場

小豆相場の先行きを考えれば、やはり流通、作付け、天候、生産コストの面から上に行くしかない。

「風花の華やかに舞ひ町淋し たかし」

年末にかけて異常な高ぶりを見せた日常生活品の買い漁りと、正月の出費が嵩んで庶民は総体に疲れたという感じである。
石油事情も、気分的にやや緩和され、姿を消して品物が値段は高くとも市場に出てきた。

そこへ金詰まりが、ひしとせまり、お正月気分から抜けてビジネスに戻ってみると、世相は、やはり一段と厳しい。

ところで昨日の当欄の山文産業の暖房の事について同社秋山素男調査部長から『あれは小山社長が指示したのではなく、ビル側が勝手にそうしているだけで、当社としてはビル管理者側に厳重に抗議しているところだ―』と。雑居ビルの住人である悲しさとでもいうべきか。

筆者は、小山社長ならやりかねない―と、早とちりした。なぜなら、小山社長は常に新体制派のような、いえば、おっちょこちょいである。民主主義だ―といえば民主主義の旗を持って先頭に立つだろうと思うし、三民主義だ―といえば民主民権、民族を立て板に水の如く説きかねない。南京陥落、提灯行列だ―といえばきっと提灯行列の先頭にいる型の人ではないかと思う。それが、よい、悪いではなく、そういうことの出来る人がおるもので、小山社長も、そうではないかと常々思っていた。もし違っていたら、筆者の、物を見る目が間違っていた事になる。

相場が閑になると、つい横道にそれて、それた道から迷路に入り、書かれた人はさぞ迷惑な事だろう。筆者にはなんら悪意はない。

それで小豆相場のほうだが、先月も先々月も月の十三日ごろにかけて中だるみというサイクルをえがく、その同じパターンが今の小豆相場に出ていて、悪く見えたところを仕込んでおけば、月末にかけて利食いが出来た。

他商品の生糸、毛糸などが冴えないことも小豆相場に影響しているけれど、ひとつは正月疲れである。

これからの材料は、やはり流通事情である。二月、三月、四月の春闘。それとガソリン不足と値上がり。そして本年の天候と作付け。

小豆相場の妙味は、これからである。安値には玉を仕込もうとする人が多い。

●編集部註
暖房の件、先方様から物言いがついてしまう。

相場が閑なのではなく上手くいっていないのであろう。筆禍事件の類は不思議と相場不振のバロメーターとなりやすい。

【昭和四九年一月十一日小豆六月限大阪一万七〇一〇円・一九〇円安/一万七二〇〇円・七〇円高】