昭和の風林史(昭和五十年二月二一日掲載分)

手亡一触即発 小豆は春寒料峭

実勢はいかにも悪い。悪いを通りこして底抜け現象が各所に見られる。だがそのわりに相場は強い。

立春からしばらく四月のような陽気の日がつづいた。

それがここ数日、北海道を除いて全国的に冷えこみ日中の気温もあがらない。

天気図を見るとモンゴルからシベリアにかけて一〇五〇ミリバール以上の高気圧が上空五〇〇〇メートルで氷点下四二度という最大級の寒気を伴って南下中であるという。今週末にかけてまた一段と寒さがつのりそうだ。

二月はニッパチ月といわれて、一年中で一番景気の悪い月であると昔からいわれる。

実際、給料前のせいもあるのか、このところ夜の盛り場の人出も極端に少なく午後八時前になるとターミナルでもガラすきとなっている。レイオフ、賃金カットというようなきびしい現実がニッパチ月と寒さと折り重なって重苦しく人の心にのしかかってきているのが読みとれる。

これでは相場のほうも全般的に迫力を欠くのは当然かもしれない。

日本以外の各国が次々と先を争うように、公定歩合を引き下げてきたことから急反騰に転じたNYやロンドン株式高に刺激されて予想外に反発したわが国の株式相場も、ここへきてその騰勢を頓挫させ、もたついているのもこうした実勢悪から目をつむることができないからであろう。

ところで話を穀物相場に戻してみよう。

現在値を去年の今ごろと比較すると小豆は去年とほとんど変わらない。

すなわち去年の二月二十日の大阪市場の後場大引けは当限一二、九一〇円、先限が一六、四四〇円、昨日の前場引けは当限が一三、二一〇円、先限は一六、九七〇円でそのひらきは僅か。

これに対して手亡は去年と比較して千円ほど安い。

人気が集中して取り組みが史上最高になっている手亡が安く、人気離散気味の小豆が去年より多少とも高いのは、手亡は先ごろのピーショックの尾を引いているからであり、小豆はホクレンの五十万俵タナ上げの影響からだろう。

そこで実需、仮需とも不振という現実から当面脱しえない小豆にくらべて取り組みの急増した手亡が実勢悪にかかわらず飛び出しそうな雰囲気が強い。

あばれん坊・手亡は無気味な動きを孕んで活躍の舞台の幕のあがるのを待っていると思われる。

●編集部註
当時の英国はイギリス病の渦中。この年自動車産業を国有化している。

【昭和五十年二月二十日小豆七月限大阪一万七〇〇〇円・一〇円高/東京一万七一四〇円・九〇円高】