S高三連発だ 皆殺しのマーチ
手亡は必殺仕掛けの相場である。七月限一万六千円まで売り方皆殺しのマーチが鳴りわたる。
「富士は雪筑波は雨の二月哉 非風」
五日の在庫発表を前に現物の売れ行き不振、在庫増を嫌気して小豆期近限月に投げたものが目立ち、気崩れした。
また、ホクレンが売りつなぎしている二、三月限の渡しきりを見越して、目下のところ受け手難の取り組みを嫌気した。
山大商事の関口営業部長は『小豆期近は早い目の整理とでもいうべきか。しかし二、三月限の今の値段はモノの価値からいって裸値だと思う。これを買って現物を受けていく気なら非常に有利な投資物件である。二―四月限のサヤ千八百円として新旧の格差千二百円。これにクレーム三百円を見ておけば三千三百円である。目下のところ受け手難という見方が支配しているが、株式市場を見ても判るように、この一、二年出てこなかった大口投資家が、近ごろ目立って市場に出ている。金融が、かなりゆるんでいる証拠だ。株は再評価の問題もあるし、今年に入って外人買いが続いていることもある。商品相場にも、やはりこの明るい影響があると思う。新穀相場に対しては、これはもう下五百円の上五千丁と見ておけばよい。今年は播種期に融雪遅れがある見通しだし、作付け面積五万ヘクタール割れという大材料がある』。
関口氏は、うまいことをいいう。下五百円の上五千丁―などと。この人と話していると原稿の見出しが出来ている。その点、杉山重光社長は寡黙で『そうだな。上だよ』。あとは黙然としているから取りつくしまがない。
ここにきて手亡のほうが白系統のワク三割削減で売り方の足もとが見すかされた格好。
手亡に本格的な踏みが出ると、これは爆発高である。売り方は、火がつかないようバケツに水を汲んできて、あたりを湿らせているが、なあに異常乾燥期だ。水がめからでも火が噴かんという今の手亡の取り組み。大音響と共に一万五千五百円→七百円のものと見る。
手亡をケイ線でいえば一月17日の頭から下げて28日寄りで付けた安値までの下げ幅千三百三十円。
この倍返し。即ち六月限なら一万五千八百三十円。七月限の一万六千円乗せ。昨年十月の頭の急所までは売り方皆殺しのマーチが高鳴る。
必殺仕掛けは手亡買いだ。
●編集部註
「目が点になる」に代表されるように、昔から存在しているようで実は新しい言葉や慣用句がある。
「仕掛人」という言葉は池波正太郎の造語。昭和四七年の小説が「必殺仕掛人」としてドラマ化、シリーズ化され、この頃第五弾の「必殺必中仕事屋稼業」が始まっている。
【昭和五十年二月五日小豆七月限大阪一万七五〇〇円・一一〇円高/東京一万七五九〇円・二二〇円高】