昭和の風林史(昭和五十年一月二三日掲載分)

追随安仕込め 大下げあり得ず

小豆情勢変わらず。目先、手亡安に引きずられた軟弱場面は買い下がる一手。押し目入り妙味増す。

「わがために近江の諸子とときゐる 秋櫻子」

きょうは己(つちのと)巳(み)である。干支の六十日目の合体。すべて物事が決まる日―とある。
さて相場はどのように決まるだろうか。

筆者は、こういう事を考えてみた。

現在、商品業界に入っている全証拠金額はどのくらいか。多い時で約一億円といわれた。全商品の総取り組み高に証拠金を掛ければ、単純概算の数字は出てくる。

およそ六百億円ほどではなかろうか。そのうち有効証拠金をどの程度と見るか。

現在、全商品の取り組み高を10とすれば毛糸が三・五%、小豆と手亡で三・五%。他商品が三%という区分になりはしないか。

全証拠金六百億円の三割五分とすれば二百十億円。(商品によっては証拠金が違うから一概にそういうわけにはいかないが)。

物の考え方として、仮りに二百億円が穀物市場に証拠金として入っている。この資金が小豆から手亡に移動したり、手亡から小豆に移動したりすると見る。

穀物は六市場ある。六市場の取り組み比率を出して一市場に介入している資金量を出してみる。

出来高掛ける手数料という数字。出来高はエネルギー燃焼の燃えがらである。燃えたものは預り証拠金から差し引かなければならぬ。

相場は計算ではないけれど、市場構成の数字は計算の好きな人ならすぐに出てこよう。

出来高掛ける手数料の累計即ち預り証拠金の食い潰しである。

従って食い潰した証拠金に新規の資金を追加していかなければ相場の燃料グラフは自然下降する。

新規が出にくい―という声を聞く。市場に新しい資金が入ってこないのである。

―と、どうなるか。〝花見酒の原理〟である。そういうことになっては困るのである。

ところで相場のほうは、小豆のここ一両日の悪目が判りやすい仕込み場である。手亡はピービーンズの追契に脅え気もそぞろの風だが、何も小豆まで追随して下げる理由はない。

小豆の六千五百円以下には用はない。手亡が落ちつけば、すぐさま反騰に転じよう。

●編集部註
ここで出てくる花見酒は、恐らく落語の演目の事だろう。

金のない二人が呑み代稼ぎのために三升の酒を借りて売ろうとするも、全部呑んでしまう噺だ。

【昭和五十年一月二二日小豆六月限大阪一万六七一〇円・二五〇円安/東京一万六九四〇円・二三〇円安】