昭和の風林史(昭和四九年十二月二五日掲載分)

小豆が花形に 新年は投機時代

昭和五〇年は投機時代である。投機時代の花形は小豆相場であろう。年内余白、買い気盛り上がる。

「石塀のことさら高き枯木かな 福太郎」

今週に入って業界の表情が、なんとなく明るい。

なぜだろうかと考える。

当初予想していたほど、経済情勢が悪くないこともあるだろう。

越年の見通しがついたこと。金融面が、かなり緩和されていること。

最悪場面を、ひとまず脱出したという、ほっとした気持ち。

それにしても取引員は毛糸がよく出来た。単品穀物業者は手亡で息をつないだ。そして一様に、来年は小豆相場の年だという大なる期待がある。

昭和五〇年は投機時代―。

これが本紙新年号の柱である。

投機時代の花形は小豆相場だ。十指の指すところ小豆相場という事になり小豆に対する期待は大きい。

小豆の当業者、現物筋は、きわめて悲観的で特に手亡に対しては売り方に、まだまだ叩かれる余地があると警戒的である。

しかし、経済全般、あるいは他商品との関連、それに金融事情等から大所高所で穀物相場を見ると、昭和五〇年は小豆の二万円中心の上下三千円。

一万七千円以下買いの二万三千円以上売りという高原での六千円幅圏内での上下動の動きが考えられる。

三年続きの豊作だから品物は豊富である。

品薄面からの市場維持不能という不安感はない。

一方、下値は農家の採算あるいは大幅減反と天災の可能性が支えになる。

そして仮需要に火がつけば、市場は燃えて、人気が人気を呼ぶ。

思うに、砂糖相場があれだけ高かったにもかかわらず小豆相場は大崩れしなかった。他商品の下げ幅に比較して小豆は浅かった。これという買い仕手も存在しなかった。しかも大豊作であった。

なぜ小豆相場は大暴落しなかったか。

いま、世界的に、さしもの砂糖も暴落している。金融はゆるむ。投機時代が到来する。農林省当局者も小豆は安過ぎる値段だ―と見ている。

市場が明るさを増し新年に期待するのも、当然の成り行きである。

年内余日。六月限新ポを待たず五月限でも買っておこうという空気だ。

●編集部註
豊作に売りなしという。

実際小豆相場はこの頃、さして上がらぬ変わりに下がらなくもなっていた。

週足でこの頃の小豆相場を見ると、これまでの上昇相場とこれからの上昇相場とをつなぐ踊り場になっている事が判る。

【昭和四九年十二月二四日小豆五月限大阪一万六三九〇円・一三〇円安/東京一万六三四〇円・一〇〇安】