師走吹き抜け ひと相場展開す
小豆相場は昭和50年の展開を考える場合、七千円どころの値段は無条件に買っておけばよい。
「鴨の中の一つ鴨を見ていたり 虚子」
26日、全国六ツの穀物取引所の取引員協会(清水正紀氏会長)主催による大ゴルフ大会が25日の前夜祭(一泊)で気勢を挙げてから川奈で行なわれたが、この日は生糸、毛糸、綿糸、ゴムの納会日だった。穀物だけの取引員ならどうという事もなかろうが、専業取引員経営者の中には『納会の日に会社を留守に出来るかい』と出席しなかった人も多い。
23、24日が連休である事は、去年から判りきってる。それを25、26日の一泊ゴルフ大会など、そもそも自分の仕事に真剣であるとは言えない。これは常識だよ―と欠席した人もある。主催者側は、年に一度の全国大会だから、随分気をつかっているのであるが『どだい、派手すぎるな、あのコンペは。なんだいヘッポコ代議士のカップを阿呆ほど並べてありがたがっているなど趣味が悪いよ』。『まあ顔を出さないと義理が悪いから出るけれど、楽しめるゴルフじゃないな』という人も多い。
一部出席者は、とくとくとしていたようだが、その会社の社員たちは、きわめて批判的である。業界の昨今の情勢を考え、あるいはそれぞれの持つ内部事情を考えた場合、連休のあとの派手な一泊ゴルフ大会は、批判される余地が充分にあるし、そこでなされたと思われる一部の大きな金額の賭け(今回の事は知らぬが、過去の例から判断して)は真面目な業界人の行なうべき事がらではない。
そもそも、この業界には経営者のひんしゅくすべき行き過ぎた行為に対する歯止めがない事を痛感する。
商売の取引先(顧客)に対する遠慮がない。銀行との関係が薄いから金融機関に対する配慮がない。労働組合がないから社員従業員に対する警戒心がない。そしてオーナー経営者は株主に対して遠慮する必要がない。
だから自堕落になりやすい。その結果は、内部分裂、集団退社、警察のお世話、マスコミの餌食、倒産、業界の信用失墜という最後のところまで直通してしまう。
なにかの歯止めさえあればと思うのである。自覚なき業界には、業界保存のためにも強力な歯止めが必要ではなかろうか。
小豆相場のほうは大勢に、なんの変化もない。底値鍛錬、強気一貫である。
●編集部注
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり―。
平成の御世からこの記事を読んでいるので、上記の描写は清盛亡き後の平家を見ているようだ。
当時の参加者は源氏鶏太の小説のように感じているかもしれないが…。
【昭和四九年十一月二七日小豆四月限大阪一万七〇七〇円・三二〇円高/東京一万七〇三〇円・三七〇円高】