閑散無味乾燥 手がかりがない
腕を組んで黒板を眺めていても相場は動かない。年内無相場という見方が支配しだして閑である。
「二三子と木の葉散り飛ぶ坂を行く 虚子」
小豆相場は年内無相場という見方が多くなるのも無理はない。
ただ、しびれを切らせて生産者が安売りしてくれば一時的な安値を付けようとも、買い場になるだろうときわめて消極的な見方だ。
先元の一万七千五百円以上はホクレンの売り物が待ち構えているから、それ以上の値段は、いま期待できないかもしれない。しかし、七千円割れには、長期方針の思惑買いが待機している。
手亡相場が、ピービーンズの追加契約などを嫌気して崩れるものあだから、穀物市場全体がカラッとしない。こういうときは、なにがどうあろうと、時期を待つしかなかろう。
無味乾燥の穀物相場で、なにか面白い話はないものか?という。
誰もが、いらいらした気持ちで耐えられない風情の時に昭和六年生まれの岡藤商事の加藤英治会長が〝奈良国際〟で紳士にあるまじき行ないがとがめられ、エチケット委員というのか風紀委員会というのか、その槍玉にあがって除名になりかけ、あわてて山本博康氏に付添ってもらい陳謝弁明。業界では、なんだ父兄同伴じゃないか。加藤さんもしっかりしてもらわなくちゃ、岡藤の大森社長は魂が抜けたようなソウウツ病で辞任するし、会長のことを社内では〝金治さん〟(禁治産)と呼んで浮いてしまっているし、頼んまっせ英治さん―という話。
かと思えば全商連の〝なんだ神田支(恥)部長〟さんは〝もの言えば唇寒し秋の風〟。トリビューン紙の木原保氏に謝文を書かざるを得ない舌禍事件を巻き起こし、業界人をお粗末なこと甚しいと嘆かせている。
このような時、小豆相場も、魂抜けてトボトボで、商いは薄いし儲からんし、嫌になってしまう。
相場の話題はとぼしいが、業界の話題になるといきいきした話が幾らでもある。前記〝父兄同伴の英ちゃん〟や〝なんだ神田の舌禍〟などは、阿呆だなあ―と言って済ませることも出来ようが、業界の話題としては震度六や七、メガトンクラスのものもあって、晴れ晴れするのはお天気だけ。原稿書くのも嫌になってくる。
●編集部注
小豆相場は先限つなぎ足でアイランドリバーサルギャップと呼ばれる線形になる。
長期に及ぶ、大きなレンジ幅保合いの始まりだ。
【昭和四九年十一月十五日小豆四月限大阪一万七二七〇円・二六〇円安/東京一万七三〇〇円・二五〇円安】