昭和の風林史(昭和四九年十月七日掲載分)

逆張りを言う 常識的な見方は

一万六千円以下は買い下がり、七千円以上は売り上がりという逆張りの人気で相場も静かである。

「大阪のある道の果秋日落つ 年尾」

小豆相場を、どう考えるべきか。

当分は逆張りだと見るのが今の市場の常識であるが、同じ逆張りでも、戻り売りに比重を置いた考えをする人が多い。

金詰まり、投機市場の沈黙、百六十一万俵の収穫、在庫量豊富という環境下で、これを強気する、

よりどころがない。

あるとすれば、九月28日に底を打った。

相場内部要因面から、自律反発が期待出来る。

海外雑豆市況の回復。

年末にかけての一時的な有りガスレ。

まあ、その程度のものしかない。

従って、反発しても上値には自ら限界があるとし、新穀の出回りと共に価格は再び低迷するだろうという消極的な見方しか出来ないようだ。

強力な新しい仕手が介入するとか、収穫は百四十万俵を割っていたとか、あるいは来年の作付け面積が予想以上に減反になるという具体的現象がなければ、この相場は本格的に立ち直れない―とする考え方も判らぬではない。

だから当面はあくまでも常識的な範囲から抜け出せない。

先限で一万五千五百円の七千五百円。七千円異常は売り上がり、六千円割れは買い下がり。

すでに相場は天候期を終わって需給相場になっている。需給相場は地味だ。

理くつ通りの動きしかしない。物の売れ行きがよいとか悪いとか。産地の出荷状態がよいとか悪いとか。

穀物相場の本当は天災期よりも、この需要期相場がやりやすいのである。

思えば昨年の今時分は、インフレの炎が燃えさかり、紙不足、砂糖不足で物資の買いだめが凄かった。

大豊作の小豆相場も九月11日に大底を打って、この未曾有の狂乱物価に刺激され年末に向かっての石油危機の波に乗るのだ。

今年は不況の風になびく定期市場。相場を刺激するような要素がない。

市場も、いたって静かなものである。多くの投機家のポケットは系との相場で軽くなっている。

そして生活の苦労が少しずつ表面化している。

よいのはお天気だけという週になりそう。

●編集部註
 相場敗者は臆病になる。

 余程の事がない限り、捲土重来、臥薪嘗胆で猛攻をかけるものは少ない。

 当然相場の線形も羹に懲りて膾を吹いているようなものになる。相場も社会も政治も、一時の混乱から落ち着いている。

【昭和四九年十月五日休場】