昭和の風林史(昭和四九年九月三十日掲載分)

今こそ買い場 新穀はトラの子

秋の大底を買わずして、いつ強気するのか。整理完了を待って買うのでは遅すぎる。買い方針。

週末の半日立会いながら商いは結構できている。

大量の売り物を持ち越した大手亡のS安で気が持てない風情だ。底値圏と判っていても金詰りには勝てやせぬ。おごそかに玉整理が進められている。

だが、どうだろうか週末の下放れての突き上げ陽線は、おやっと思わせるものがある。大手亡とのサヤ(各地とも約千円強)が千五百円から千七百円、時と場合によっては二千円近く開くのでは…。

さらに新ポの生まれぐあいとヒネ限月とのサヤ関係に関心が集まるところだが一巡、売るものは売ったし投げるものは投げた。荒涼たる中にもどこかサラッとした風が市場を吹き抜けていく。

出来秋の大底構成は昨年と一昨年。柳の下にドジョウは二匹いなくとも、二度あることは三度ある。

見ているがよい。

化膿しかけた傷口はなぜたり、さすったりしても、別によくはならないが、少々痛くともメスを入れて膿さえ出し尽くせば、目に見えて快方に向かう。

農林省という執刀医に感謝こそすれ、恨むのは筋違い、狭い了見である。

産地も懸念された降霜も免れて、大事に手持ちしていた48年産小豆を売ってきている。これは当然の話で取り立てて驚くこともない。売ったあとはどうなるか。

次はトラの子・新穀をチビリ、チビリと値段と相談で仕切ってくる。これも十二分に予想される範囲である。

これで消費地に荷がダブつけば、繊維相場でいう不況相場の採算天井、生産者コストも米価との比較も、負け犬の何とかだが、時あたかも需要最盛期。出回り期が消費シーズン(あとゆっくり一カ月余ある)とは、世の中はうまく出来ている。

九月の値動きは、どこの現物やさんに聞いても『それほど悪くないですヨ』か、『例年の三~四割増』という景気のよい話もある。

恐らくシカゴ穀物の大スペキュレーターあたりなら日本の小豆相場を見て来年の大減反、コストアップを見越してマクロ的な買い思惑の網を今ごろから敷くに違いない。

●編集部註
 相場は闘いである。大相場は戦争によく例えられる。買い方と売り方の対峙と似ているためだ。

 この時の相場で買い方は負け、売り方は勝った。

 このパターンで底値からのV字反発するケースは稀。戻り場面では余裕ある売り方の攻撃があるためだ。ここから七カ月、退屈な保合い相場になる。

【昭和四九年九月二八日小豆二月限大阪一万五七三〇円・五〇円高/東京一万五七六〇円・六〇円

高】