昭和の風林史(昭和四九年九月二十日掲載分)

駄目底構成し 大直り途上なり

底入れ。出直り。一万八千円奪回。鎌入れ不足。軟派の踏み。一万九千円―という予想。

「みちのくはさあれ那須野は萩みだる 湘子」

業界は比較的静かである。これという話題がない。三連休を控えゴルフのメンバー探しや、軽い旅行や会社の慰安会など、それぞれあまり気が乗った様子はないが、スケジュールを義務的に消化する格好だ。

うら枯の夜の巷も不況風がひたひたとわたる。会社の近くの酒屋のビールの函の上に板を置いた立ち飲みは、引け時になると道路まではみ出る盛況であるが、キタやミナミにはひっそりしている。企業各社とも交際費を大幅に削減している。庶民であるサラリーマンは生活防衛で倹約ムード。秋の日の金詰まりのためいきの身にしみて、ひたぶるにうら悲し―というところである。

小豆相場は七千円どころで九月のゆううつ病であった。今年の小豆を振り返ると三月のゆううつ。四月のもちあい。これが六千五百円あたりと七千三百円どころ。そして六月のもちあいが九千円中心。

相場師は皆貧乏した。貧乏は、あせればあせるほど、ぶくぶく沈む。貧乏の棒が立ったら、辛抱の棒で支えるしかない。日柄薬だ。

産地小豆先限日足線は七千円と七千五百円でボックス型。産地相場が存外固いのである。これをどう見るか。また、18日の相場でも夜放れ安に寄ったものが引けでは前日の引け値に食い込んでいる。

手亡は九月九日の安値を割った安寄りであるが、小豆は、あの安値が底型になっていて駄目底の格好だ。

なんとなく、彼岸底を形成しているみたいだ。

相場用語に〝売りあき気分〟というのがある。売っても、売っても相場は言うことをきかない。これも日柄薬で、いい加減売りあくと、材料なしで直ってくる。

金泉録に「順乗の年は空腹上がりなり秋名月に買いの種まけ」とある。前年が豊作で古米の在庫の多い年は新米に対しても弱気でのぞみやすいが、秋名月の時分から相場は徐々に高くなる―。

秋冬春二割高下に向うべし夏は三割むかう理と知れ。

三日間休みの間の産地天候も気がかりである。筆者はやはり一万八千円挑戦の相場と見る。ここまで来て弱気は出来ん。

●編集部註
 実勢相場の影響は数カ月後の市井に反映する。

 オイルショックの影響はテレビの深夜放送の休止や制作費の削減を招く。『ウルトラマンレオ』などは製作に苦労したらしい。

【昭和四九年九月十九日小豆二月限大阪一万七二〇〇円・一六〇円高/東京一万七二二〇円・二二〇円高】