昭和の風林史(昭和四九年九月十九日掲載分)

底値を鍛錬中 万人総悲観だが

暗い市場であるが小豆の一万六千円どころは下値の限界である。万人総悲観の時こそ買い場だ。

「うら枯のこほろぎ夜も日もあらず 悌二郎」

二連休明けの17日は商品全面安。東京ダウも年内の新安値。阪本紡績の資金ショートが市場を暗くした。

18日ピービーンズ安から手亡がS安。小豆も崩れた。

なにかと暗い材料ばかり目につく昨今である。

気分的には全商品相場底値圏という感じであるが、経済活動は極度な金詰まりのため活発な市場回復につながらない。

小豆相場は産地のきつい冷え込みを警戒したが、祈るような買い方の心未だ通じず、天祐来たらず。その間にも刈り取り作業は進む。

きょう19日、後場引け後、農林省の収穫予想数字が発表されるが九月一日現在時点と、現在とでは少し様子が違うという見方がある。一日より現在のほうが病虫害などで悪くなっているというのだ。

ケイ線では七月26日から五段下げ。

一万六千円どころは下値の限界との見方が強い半面どうしても軟弱地合いにつられ悲観視するむきが多い。

しかし九月九日、十日の安値は、そのあたりにもう一度顔合わせすることがあっても、これを深く割っていくものではないと考える。繊維相場のように、市場がまだ不況産業の換金の場になっていないという強味が穀物市場にはある。

在庫圧迫、供給過剰とはいえ一年草の穀物は、仮りに現在、在庫豊富でも先行き来年の大幅な作付面積の減少(一部には五万ヘクタール)を割るのではないかとさえ言われる)や、大冷害、大凶作の回り年ということを考えれば、年が変わるとともに小豆の需給観も一変しよう。

相場内部要因としては高値の買い玉の整理も、ほぼ終わっている。

むしろ六千円台での売込みが目立つほどだ。

一万七千円値固め、一万六千二、三百円底値確認という動きで、いつでも一万八千円に挑戦出来る態勢の相場と見る。

勝負は下駄をはくまでは判らない。

充分に買ったあとの高値圏での霜一発は天井打ちになりやすいが、これだけ下げて弱い人気の市場に降霜被害が出れば、市場が様変わりになろう。悪目は買い場所である。

●編集部註
祈って相場が動いた事など、ただの一度もない。

それを解っていながらも祈らずにはいられない。

見切り千両というのはけだし至言だが、その先が無欲万両という事を知る人は意外に少ない。

【昭和四九年九月十八日小豆二月限大阪一万七〇四〇円・九〇円高/東京一万七〇〇〇円・七〇円安】