昭和の風林史(昭和四九年九月十四日掲載分)

八千円奪回へ 攻防熾烈の場合

一万六千円以下の値段はないという感じを強くしている。七千円どころ地相場。あとは天候次第。

「山の日の片頬にあかつき濃龍膽 風生」

シカゴ市場の大豆相場は寒気の移動による降霜懸念と収穫予想が微増であったことに刺激されて続騰していた。

小豆相場も早冷を気にしている。12日は小豆、手亡がS高に買われた。産地の一部に早霜があったと伝える。また15、16日に寒気が襲来する予想もあって、安心売り出来ない気持ちだ。

市場人気は一万五千円→四千円台へと続落する相場と見る人が多かった。それだけに安値にきて、かなり売り込んでもいる。

よもやS高の入る相場とは思っていなかっただけに狼狽した。

七月26日の天井からおよそ40日(日足40本)。

気候は、めっきり秋らしくなったが、市場もどっぷりと弱くなった。日暮れて道遠しの感を強くしていたところだ。

相場は人気の裏を行くとはよく言った。

12日は、さしもの毛糸相場も反騰し、毛糸、乾繭、綿糸も急伸した。

あらゆる商品相場が続落する中で粗糖(バラ)相場のみが一本杉のように高かったが、逆に粗糖相場のみが急落しているのが皮肉でもあり印象的であった。

小豆相場は生産者コストから判断して49年産の大底は一万六千円と見ることが出来る。

いま千円棒を立てて八月下旬の水準である。

もう一発、具体的で強烈な支援材料の欲しいところだ。先限の一万七千五百円抜け。一月限の一万七千四百円抜けは攻防熾烈八千円奪回の罫線の急所に当たる。

もとよりそれは霜害あるやなしにかかっている。

霜は軍営に満ちて秋気清し 数行の過雁 月三更 越山併せ得たり能州の景 さもあらばあれ家郷遠征を憶う。

いま各限の高値から最安値までの幅を見ると

九月限… 四、三〇〇円
十月限… 四、二九〇円
十一月限…四、一七〇円
十二月限…四、一七〇円
一月限… 三、三八〇円
二月限… 一、一九〇円

下げ幅の三分の一戻しから半値を戻すという場面になれば新しい相場である。

そのためには七千円どころで新しいエネルギーを蓄積しなければなるまい。

ここで言える事は最悪場面を脱しつつ、再び明るさが見えてきたという事。

●編集部註
 出星前夜の記述である。

 買い方が赤いダイヤに希望の光を夢みた時、オランダのハーグでは日本赤軍がフランス大使館を占拠する事件が起きた。

【昭和四九年九月十三日小豆二月限大阪一万七二三〇円・一一〇円安/東京一万七二七〇円・五〇円高】