昭和の風林史(昭和四九年九月三日掲載分)

祈ること切や 雨よ降れ風よ吹け

天の、ちょっとしたいたずらで絶体絶命のピンチを脱した相場師は多い、風よ吹け、雨よ降れ。

「葛の咲く谷なり利根のながれ出づ 秋桜子」

二月限小豆はサヤを買えずに生まれた。環境が冴えない時だけに止むを得ない。

昨年は九月が三日新ポで小豆二月限の生まれは一万三千七百三十円。二百六十円の逆ザヤ。これを嫌気して各市場ともストップ安に叩かれた。この日、生糸、毛糸もS安した。

そして次の日4日は再び小豆がストップ安。手亡もS安。他商品もゴム、綿糸、毛糸などがS安。

まさしく〝黒い九月〟だった。全商品の落勢は7日小豆、手亡、生糸、乾繭、綿糸、毛糸などストップ安。小豆、手亡の崩れは止まず8日もS安した。

筆者は「満目粛然。神の怒りの三日新ポ」。「鬼神も哭いた」とこれを表現した。

さて、あれから一年光陰は矢の如く過ぎ去った。

めぐる月日は二日新ポ。

昨年より相場環境は悪い。株式市場の没落。金融の逼迫。実需不振供給過剰。

小豆の作柄は、まだ油断禁物とはいえ、経済環境は昨年と違って陰湿さがある。

思えば昨年は小豆の崩壊にしてもドライであった。そしてそのあと突然に襲ったアラブの石油戦争。年末の狂乱時代に踏み込んで行く。

台風16号が日本海を北上し、北海道に接近、風雨次第に強くなるという予報で小豆市場の投機家は16号台風の〝もたらす影響〟を見守っていた。

台風による被害は出なければ、再び売られる場面である。

高値因果玉を抱いて呻吟している人たちは風よ吹け雨よ降れと祈る事切だろう。

相場はドラマである。絶体絶命のピンチを、天のいたずらで起死回生した相場師の数は多い。

運は天にある。

台風の通り抜けたあとの北海道の冷え込みも怖い。

この秋は晴天の日が多いという予報だ。霜は晴天に降る。

小豆市場の投機家たちは、一万六千円割れ、一万五千五百円目標の〝安い相場〟を、昨年の九月の暴落と二重映しにして警戒している。まだとどかない、まだ安い―という不安感がある。しかし、もうはまだなり、まだはもうなりという。二日新ポ月の荒れ月を見よう。

●編集部注
「もうまだ」「まだもう」の話が出ると相場は終盤。

ただし、運賦天賦の話が出ているうちは相場基調はそう変わらない。

テクニカル的には8月下旬のマドを埋めるか否か。まだ戻り売りである。

【昭和四九年九月二日小豆二月限大阪一万六九六〇円/東京一万六九六〇円】