昭和の風林史(昭和四九年八月二十四日掲載分)

安心買い地点 八千円奪回作戦

小豆の今回の下げは二月四日からの新しい相場の初押しと見る。一段上げ終了二段上げ開始―と。

「普請場に鉋屑散る鳳仙花 恒明」

値段が固まるまでには時間がかかりそうに思える小豆相場の動きだがそこは入った。

古品の一万五千円。新穀の一万七千円。やはりひとつの値ごろである。古品六千円の新穀八千円といわれたところからそれぞれ千円下である。

足取りは千八百円下げで千円戻して千八百円下げたところで、千円戻した地点を山梨は戻り天井と判断して売りポジションに回った。鮮かな変身であった。

先限引き継ぎの千円棒は一段下げ、二段下げの格好である。

ここで戻して三段下げという見方にとらわれていると人も多い。市場は随分と弱気がふえた。

九千円台の買い玉がまだ未整理だという。しかし八千円割れを、かなり売り込んだ形跡もある。

繊維商品のほうは、大きな台風が通り過ぎたあとのようだ。屋根の瓦は飛び、壁が倒れているのを眺めて家々から出てきた人たちは怖かったですねと、その凄さを語り合う。

しかし乾繭にしても豊橋①千九十九円②千百九円③千百七十三円と三段下げを完了し、前橋も①千百三十円②千三百三十六円③千百六円と綺麗な三段下げを完了したと山文産業の秋山素男調査部長はいう。

生糸、毛糸も新安値を叩いて底が入った。

秋山氏は手亡はまだ大きな相場を残している。手亡の今後の上伸は未知なる世界だ。小豆も買い場だ。これはズンズンケイ線用紙を継ぎ足していく上昇ではないが高水準での二千五百円ないし三千円幅の逆張り型―と見ていた。

多くの小豆相場の玄人は、昨年の呪われた大暴落に恐れをなしているが、今年の場合は、ああいう相場にはならない。

その事は〝小豆相場を考える〟で書いた。

いまの市場は万人総強気という雰囲気ではない。その逆である。

そして、あたかも天候相場は平年作で、もう終わったかのように決めているが、勝負は俵(たわら)に入れてみるまで判らない。

産地の長雨、低温が続けば相場は敏感に反応を示すだろう。

大局的には二段上げ後の押しと見る人もあるが、筆者は、あくまでも二月四日からの一段上げ完了による押し目と見るものだ。

●編集部註
 〝勝負は俵に入れてみるまで判らない〟とは名言である。全相場に通じる。

【昭和四九年八月二三日小豆一月限大阪一万七六〇〇円・一五〇円安/東京一万七五九〇円・一一〇円安】