昭和の風林史 (昭和四九年八月二日掲載分)

未だ天井に非ず 格好の押し目だ

弱気が急速にふえている。戻り売り人気だ。しかし相場はこれからだ。天井していないと見る。

「ナプキンの糊のこはさよ避暑の荘 草城」

帯広の作柄も存外回復しているし、中間地帯も旱ばつが先般の降雨で解消されたと盛んに言われる。

小豆相場は、それを裏付けするかのように反落して千円棒が入った。

31日、山梨商事の応接室で麻の背広をシャンと来た桑名の板崎氏が霜村昭平社長の相場観を熱心に聞いていた。

霜村氏「去年の九千暴落相場を辛抱してきた人なら、こんな相場、なんともない。決して相場を軽視するわけではないが、九月どたん場に勝負が持ち越された感じだ。私は最悪小豆先元の一万八千二百円と見る。収穫百三十万俵予想。古品一万六千円が鉄壁の岩盤だ。しかも八月、九月の秋が早いという天気予報も無視出来ない。私は長期的には昭和50年の大相場を考え、そして現在の産地状況を調べ、信念の強気方針を一貫している。もちろん押し目買いだ。手亡の相場も結局は二万円相場である。なんら今までと方針は変わっていない。見てごらんなさい手亡の週間足を。大台七台変わり(七千円幅)の波動ですよ。大々相場だ」―。

板崎氏は山梨から帰りの車の中で霜村さんには凄いファイトがある。私も少しは見習う必要がある―と感心していた。桑名は、石取り祭りである。夜の街は遅くまで祭り太鼓の練習でにぎわっていた事だろう。

さて、上げたあとの急落で相場がサラサラしてきた。これで弾みがつくのである。

弱気としては作柄の回復。在庫の圧迫、高値買いつきの取り組みを重視してあくまでも戻り売りの態度を貫くだろう。

しかし強気は、一度キズのついた作柄であるし先はまだ長い。全道平均七分五厘の作況として百三十万俵収穫。ここで弱気がふえて売り込めば理想の相場になると見ている。

筆者は絶対に天井していないと見る。

手亡も積極買いの場所を露呈している。再びS高で新値を抜いていくだろう。

小豆も11月限の八千四、五百円。12月限の八千六、七百円どころはナンピン買い場である。ここで整理されれば八月中旬以降の相場が強烈なものとなる。

強気方針不変。

●編集部註
相場に絶対などない。

四十余年前の記事を読みながら考えた。

知に働けば角が立つ。

情に棹せば流される。

維持を通せば窮屈だ。

所詮相場はやり難い。

しかし相場のない世界など、なおやり難かろう。

【昭和四九年八月一日小豆一月限大阪一万八八二〇円・東京一万八七二〇円】