昭和の風林史 (昭和四九年七月三十日掲載分)

未だ天井せず 逆襲強烈ならん

ここで押すことにより相場の寿命は先に伸びる。そしてスケールも大きくなる。未だ天井せず。

「ゴム草履はき捨ててあり月見草 惣一」

26日、27日と頭からかぶせるように押してきた小豆が28日の産地天候の順調を映して週明け安寄りした。

納会後の事でもあり市場は気がゆるんでいる。担ぎあげられていた売り方が愁眉を開こうとしている。作柄の回復が声を大にして唱えられる。

しかし相場は天井していない。

八月の天候は楽観できるものではない。

そして秋が早い予報だ。

この相場の天井は九月。長い経験から、そういう予想がたてられている。九月に天井するためには八月中下旬は熱狂しなければならない。そのためには今ここで押しておく必要がある。

やや強気の市場になっていただけに押し目を入れて人気を冷やし、整理と新規売りを待つ。

相場の見通しはなんら変わらない。方針は不変である。押すべき地点で押す。それは理想的な値のはこびといえよう。

高値を警戒する人は先限の一万八千八百円時点で千円押しと見ていた。しかし現実は、逆に千円上に担ぎ上げられて、そこからの小千丁押しなら、なんのことはない、もとの水準だ。

しばらくは作柄の回復が言われるだろう。

もっとも考えてみれば、一年中で今が一番暑いさかりで、八月の声を聞けばもう立秋。

盛夏→晩夏→初秋。

蕪村の句に「秋たつや何におどろく陰陽師」というのがある。

一年中で最も暑い今時分、産地の天気がどうにもならなければ、大凶作である。少々天候が回復したからと騒ぐに当たらない。

弱気は七分五厘作から八分作→九分作、うまくいって平年作などと景気をつけている。だが現実はそんなに甘くないはずだ。まして八月中下旬から九月の早霜、長雨などを考えると作柄を楽観するのは早計だ。

さて値動きのほうだが26日の寄り付き値から七百円、九百円、あるいは千百円押し。そして押した幅の倍返し。押し目が深いほど八月の反騰幅が大きくなる相場と見る。

二万円乗せから押すと見たが、乗る前に敬意をはらった格好。押し目ナンピン買いでよいと思う。

●編集部註
 古人曰く、買いナンピンはスカンピン(素寒貧)という。現実を見る姿勢。

 相場の達人曰く、利食いたくなったら乗せろという。運に委ねる姿勢。

 ポジションの追撃場面はいろいろと悩ましい。

【昭和四九年七月二九日小豆十二月限大阪一万九〇五〇円・四三〇円安/東京一万九〇八〇円・四五〇円安】