昭和の風林史 (昭和四九年七月二十五日掲載分)

新規買い安全 充分間に合う!!

ここからが相場だ。下がらない相場。狂乱沸騰の場面が控えている。充分間に合うのだ。

「ペンキ屋の仕事音なし日のさかり 波津女」

中井幸太郎氏は『これだよ、千島列島から張り出している冷たい高気圧。これが昔東北地方の娘が泣く泣く売られていった冷害の元凶だ。今年は無気味だね。冷たい夏よ。居座っているじゃないか』。

手亡戦線で大勝利を得たと評判の阿波座の乙部幸一郎氏は『一カ月のモミ合いダンゴを突き抜けたのだから二万円、二万一千円の小豆になっても変だとは思わない。売りたい人は二万円抜けから、九月天井と見て売り上がるしかないだろう。まあ今、来月は売りに勝ち目はないな』。

小豆の玄人筋が強気になれず、暴落を狙おうとして弱いのは〝早過ぎた強気〟が原因ではなかろうか。

七、八、九月限が先物時代のころから強気して〝強すぎる強気〟を続け、しびれが切れている。

世の中、皮肉に出来ていて、そういう〝早すぎた強気〟の玉が投げたり、弱気に回った時分から相場は言う事を聞きだした。

玄人筋の見方は間違っていなかったのだがタイミング即ち〝間〟がとれなかった。

ええい、ままよ、それじゃ崩れを狙え―となるわけで、高々上があっても二万一千円。下げの方が幅が大きい―と、去年の夏の終わりから秋口にかけての大暴落を夢に見るのだ。

相場は(大阪で)七月限が六千九百五十円。八月限が七千三百五十円。九月限の七千六百四十円を抜くようなことになると、それから市場が割れるような沸騰場面が到来して新穀二本は二万一千円である。

問題は、店の懐は総体に買われているこの大衆の買い玉が利食いに向かったあとどうなるか。時と場合では、それから玄人が強気に転換するのではないか。そうなれば二万一千円では止まらず二万五千円だ。

目下のところ作況は全道平均七分作。帯広は、だいたいあきらめムード。中間地帯に弱気は期待しているが、先はまだ長い。

線型は12月限の二万円丁度と二万七百三十円が目標の急所になっている。

警戒心強く利食いが早いだけに買いはまだ間に合うスケールの大きい相場だ。暴落を怖がっている必要はない。これからが相場だ。

●編集部註
 強気相場はつまらないくらいが丁度良い。そう判るまで時間がかかる。

 罫線にまみれて暮らす事で実感する真理。得てして吹き上がる相場は長続きしない。そう判っていても曲がる悲しみ。

【昭和四九年七月二四日小豆十二月限大阪一万九四四〇円・一六〇円安/東京一万九四〇〇円・一八〇円安】