昭和の風林史 (昭和四九年七月八日掲載分)

警戒人気強し なるが故に買い

小豆、手亡とも高値に対しての警戒心が強く、微妙な段階だが、下げたところは再び買われる。

「水取虫羽音重きは落ちやすし 楸邨」

七日のたなばた。朝顔市が済むと浅草観音の。ほおづき市。人形町あたりの路地の裏の民家に、赤いほおづきをつけた鉢植えが、そっと置かれているのは、見た目も涼しい。ほおづき市で買ってきたものであろう。

十日は四万六千日。この日浅草の観世音に参詣すれば四万六千日参詣したほどの功徳があるという。

十一日は福島の野馬追い。九州小倉は祇園祭。映画〝無法松の一生〟の名場面が眼に浮かび、四百余州をこぞる十万余騎の敵―という元寇の歌を思い出す。

十三日は盆の迎え火。

十七日京都の祇園祭。

二十日土用の入り。

二十日は大阪坐摩神社のお祭りで、岡地大阪支店は坐摩神社の真隣り。岡地の福富常務は不遇時代、大阪支店で祭りの夜の太鼓の音を一人聞きながら苦い酒を飲んでいた。

二十五日、大阪天満の天神祭は松亀穀物の松亀社長も揃いの浴衣でハッスルしたものだ。カネツ大阪支店は塩谷常務在任中は一等場所のこの場に人を招待して麦酒などふるまった。

昔は川べりの中井繊維や、藤忠、西田商店あたりも昼から競うて冷やした麦酒と突き出しなどを揃え来客と共に祭りを祝ったものだ。

今は北浜証券会社も、そのような情緒はない。

夏もたけなわ。

東京穀取協会は、五泊六日の北海道視察スケジュール(八月19日より)を早々と組んで参加者を呼びかけている。七月も中旬を過ぎると小豆の作柄見通しもほぼ決まってくる。

さて、きょうは選挙の開票速報に関心が集まる。相場のほうは、ちょっと微妙だ。

手亡の先限も一万八千円となると、抵抗感が出てくる。凶作決定的ならば、いずれ小豆と同ザヤになる相場だろうが、規制も厳しくなろうから、警戒心も強くなる。

小豆のほうは当面九千円中心の逆張りという見方が支配している。

古品の在庫と輸入発券と規制強化が、これからの上値に響いてくるだろう。

平年作は、まず不可能の作況が、不況決定的→凶作予想と、悪いほうへ直進するか、ますます今の状況で踏みとどまるか。

今週も、また多忙。

●編集部註
この時代に〝情緒がない〟と書かれると辛い。

そうなると平成の相場界は野暮の極み、否、野暮より酷い半可通だ。

商品業界の玉は、花柳界の玉に由来する。玉を大事にしなかった咎めが平成の御世に来ている。

【昭和四九年七月六日小豆十二月限・休場】