昭和の風林史(昭和五八年十一月一日掲載分)

小豆今日明日で完全燃焼

小豆は新甫、二日で値を出しきろう。あとの反落きつい。輸大は弱気禁物の波動。

小豆期近の売り玉が踏まされている。

強気は当限三万七千円台を考えているが、霜月も一日、二日で値を出しきってしまう息づかいの激しい動きで、あと崩れがくる。

先のほうの二、三月限で二千五、七百円から三千円をマークしないと、この相場は天井打たんと強気が急増してきた。

要するに天候相場時に役所やホクレンの三万五千円は付けさせん―という圧力で相場が不完全燃焼に終わった。

その相場が端境期に入って凶作相場の確認と、輸入小豆の入荷遅れ、それと輸入枠の政治的配慮による高度な発券作業などが絡んで、取り組み内部要因の売り安心の足もとに火がついた―という場面である。

これで減少傾向の小豆取り組みが東西合計再び五万枚台に回復するのかどうか。取り組みが増勢を辿りながら先三本限月が上昇するコースに入れば、先限三万三千円近くまでぐらいの展開も可能性としてはあるかもしれないが、前二本煎れと利食いで建玉減少ならば、短命に終わる。

今月は輸入枠が決まるし、中旬までには年末の需要も一巡する。そのあと輸入小豆の入荷で市中末端の需給が緩和してくる。

そうなると、今回相場の芯である前二本の煎れは出尽くしていようし今月納会渡し物などあるかい―と豪語していても、理くつはそうであっても、シカゴ大豆と同じで、11㌦だ、やれ12㌦絶対の人気でありながら9㌦60で天井したみたいに、上値言うのは勝手ながら、現実は人気が沸騰したところでおしまい。

われわれは前(さき)の輸大相場を少々早く弱気しだして苦労したが、売りの辛抱は熱ければ熱いほど一夜明けると、世の中急変していてドカ安まさに車軸を流さんばかりである。

●編集部註
 この頃の平日のお昼は「笑っていいとも!」を東京ならフジテレビ、大阪なら関テレ、中部なら東海テレビでやっていた。その後、30分モノのドラマが2本あって、3時から「3時のあなた」というワイドショーが始まる。そのスポンサー企業の中にホクレンがいた。
 今はよく判らないが、この頃農協は実に羽振りが良かった。農林中金を調べると〝日本最大のヘッジファンド〟と海外で認知されており、「ノーキョー」という単語は色々な意味で知られていた。
 この〝色々な意味で〟というのがミソである。小説家、筒井康隆は73年に「農協月へ行く」を発表。弄りに弄り倒している。
 筒井康隆という作家の凄みは、時代の先見性にある。例えば、68年に発表した「にぎやかな未来」を今読んでみると良い。