昭和の風林史(昭和五八年十月二十一日掲載分)

暁に祈る大豆の買い方

輸大強気は暁に祈る毎日。遥かシカゴの空は暗雲低迷。小豆は下げたがっている。

流れとしての小豆相場は下げたがっている。強気している人は、絶対にそうは思わないだろうが、先二本の三万一千円割れに、あれよあれよという下げがくるだろう。

なにがどうだから、ああだ、こうだと言いだせばきりがない。

とどのつまり相場は相場に聞いてみる。

小豆の取り組みが痩せてきた。高値の買い玉、辛抱する木に花が咲くと信じて我慢の子も、当限納会、来月限の仕手様相など、確たる信念なく、人まかせ他人まかせの昨今である。

今は相場の性格が需給本位であるから動きとしては地味である。ただ小さな動きで小緩んで、これが肩下がりのトレンドに忠実なあゆみを続ければ、いずれどこかでドサッと来る怖さを考える。

行く行く小豆の二、三月限は三万円割れであろう。売りっぱなし、売った玉忘れておれば成果大きい。

シカゴ大豆はトレンドと喧嘩するなを地で行くものだ。今の場合七㌦60あたりを中勢が示している。目先としては八㌦10あたりに軽い抵抗がある。

穀取輸大は中国大豆成約とシカゴ安で売られたところを商社筋のヘッジ売りが利食いを入れていた。

戻ればすかさず売り直してくるだろうから、高い中豆買ったあとの定期利用が投機色を強めるだろう。

輸大の内部要因は大衆筋の高値掴みが上値を圧迫している。

これらの買い玉は、遥かなるシカゴの空に思いをはせるだけである。雄途むなしく傷ついた買い玉は、あの山の上。これの救援策によい知恵もない。

歌の文句、あすに望みがないではないが、シカゴだけが頼りとは、心細さがつのります。

流れとしては輸大先限四千七百五十円あたりか。

●編集部註
 1983年10月は世界的に血生臭い事件が続いた。同年10月9日にビルマ、つまり今のミャンマーで爆弾テロが発生。韓国の閣僚を含む16人が死亡。背後に北朝鮮が絡んでいると噂されていた。
 同年10月25日、カリブ海の島国グレナダでの政変を理由に米軍が同国に侵攻を開始。これも東西冷戦の中の一事象に過ぎないが、この事件を理由に、東側諸国は翌年のロス五輪をボイコット。実は80年のモスクワ五輪ではソ連のアフガン侵攻に抗議して東側諸国がボイコットしている。 こうした国際政治の世界でのヒリヒリとした空気の中で、ドル/円相場は10月中232・5円を挟んで2~3円の上下変動が繰り返される。これが各種金融市場に波及したのはいうまでもない。