昭和の風林史(昭和五八年十月十一日掲載分)

小豆・弱気も高値がほしい

下げるために高いところに引っ張り上げる小豆で、先二本二千七百円がほしい。

小豆は強気している人にとっては実に心地よい材料が揃い、相場また期近限月が軽い足取りで、輸入小豆の入船遅れなど、いまこの相場を上げずして、いつ上げる時があろうか?というムード。

しかし全般人気としては売りたい人が多いように見受けられる。

売りたい人の多い相場は上がるとしたものだ。

取り組みは細る傾向で玉がほどける流れだ。上げながらの取り組み減少は無条件買いご用心である。

現物が暴騰している事情は判らぬでもないが、やはり一種の人気作用。

そこで相場だが、先のほうに焦点を絞って考えると、上値はまだ残している。2・3月限で二千七、八百円あたり、あるとみてあればよし、なくてもよしという取り組み方でよい。

今月中一杯は二千円中心の動きで三万一千円以下の売り玉を、さあ踏め、それ踏めという強ばった動きの繰り返しかもしれない。

そのうち段々強気でなかった人達が強気に変色していくだろう。

それを見て新規売っていく手が無難で判りやすい。

この相場は所詮下げるための土盛りをしているようなもので、高く盛れば盛るほどあとの下げが速い。

遊園地などに台車を連結してカタコトカタコト高い所に引っ張り上げておいて加速度つけて急降下のあと一回転し、乗っている女の子の悲鳴をふりちぎって、もう一回転して元に戻る。

あれみたいなものである。

先二本三千円近辺あってほしい。七月あの上げを売って死ぬ思いをした人は怖くて売れないが、あのような上げかたはせん。

●編集部註
 人は何故、絶叫マシンに乗るのだろう。心の余裕というものなのか。
 昔は雨後の筍の様に遊園地があり、何らかの絶叫マシンが併設されていたような気がする。
 しかしバブルをピークに淘汰され、いまは遊園地自体が貴重な存在になっている気がする。
 一時期、日本各地で巨大迷路が流行ったが、思えばこの頃、遊園地も迷路に迷い込んで出られなくなったのだろう。
 当節、日本各地でリアル脱出ゲームが流行っているらしい。みんな囚われている「何か」から脱出したいのであろう。
 1983年はTDL(東京ディズニーランド)が出来て間もない。当然USJなど存在しない。
 この頃、絶叫マシンといえば、東の雄、富士急ハイランドと、西の雄、ナガシマスパーランドが共にギネス級のマシンを導入してしのぎを削っていた頃である。