昭和の風林史(昭和五八年七月十八日掲載分)

小豆再び奔騰の態勢整う

買い屋をぶっ叩けという空気充満だが、お天とうさんと大衆パワーにかなわない。

小豆は中段のもみ合い圏に入っての乱調子だった。

売り方は(1)農協筋が前二本に売りを出した。(2)作付け面積が四万二千haと多い。(3)ケイ線が悪い。(4)天候が持ち直しそう。(5)神戸のK氏(七色のパッチさん)の買いを投げさせ、ぶっ叩け。

まずはそのようなところ。

神戸のK氏曰く『みんなで私の玉を投げさせようとしているが、よろしい。私も一緒になってぶっ叩いた。私は七色のパッチだもの変幻自在よ』。

それにしても買い方憎しである。買い屋を潰して投げたところを、ドテン買いに回りたい。

お天気のほうは再び、オホーツク海高気圧が特等席に居座りだした。雨と低温で、作柄はいよいよどうしようもない。

6月末北海小豆在庫五十二万俵として七、八、九の三カ月六万俵消費なら三十四万俵。このうち農家手持ち二十万俵としても十四万俵しか残らない。

今年の作柄を一番よく知っているのが農家である。

来年用の種子確保が先決だ。(種子は反当たり機械播きなら四升必要)。

また過去の凶作年に北海小豆現物五万円が記憶にある。そう簡単に手放さない。だからホクレンとしても困る。安値で売ったホクレンの玉が捕まったまま。

これの救出作戦を展開しているところだが、お天とう様には勝てない。

さてケイ線の話になるが線型は確かに悪い。いうなら暴落線である。

しかし、凶作年の相場は暴落線が暴騰線になる。

取り組みは増大する。大衆筋に力がついている。三万六千円(先二本)目標の信念は強まるばかりだ。

役所のほうはどうかといえば、相場が安ければなにも騒ぐことはない。今期枠発表→発券織り込み済みだし、次期枠早期発券は相場が三万八千円をつけたりした時の事。

いずれにしろ叩き込んだだけ、このとがめは今週大きいと思う。

●編集部註
 ノリノリの筆致だ。
 上下強弱を問わず、材料があると書く側としてはどうしてもノリノリになる。逆に凪の如く書く材料がないと遅筆になる。占い師が水晶玉に手をかざすが如くキーボードの数センチ上で手が止まる事が過去何回あった事か。
 執筆時点でまだ東京は梅雨明けしていない。83年7月22日は山陰地方で集中豪雨が起こっている。令和元年の6~7月も西日本で豪雨災害が起こっている。何となくこの頃と今現在がリンクしているような気がする。