昭和の風林史(昭和五八年六月十日掲載分)

小豆は大行進のマーチが

小豆10限の八千円抜けも11限の三万円乗せも約束されたような大底脱出のマーチ。

小豆相場は安値に叩いておいて強力陽線三本を立て、しかも千円棒である。

安値から連続陽線三本は三兵行進といって買い線の一種。

ところが今回の陽線三本は化けものみたいな三兵で、まさに三兵の巨人だ。

なん十年の相場経験に、そう数々出るような買い線でない。昔なら『嬶質入れても買い』というわけだが寄る年なみではそうもいかず、さしづめサラ金梯子(はしご)してでも―となるが、それはいけません。

まあそのぐらいの意気込みで強気すべき線が出たと判断していただければよい。

あとは噴き上げれば押すし、押せばまた上伸する。それは相場に底が入ったからであり、基調が上向き、上昇トレンドに乗ったからである。

弱気の人は相場がゆるむと、すかさず売ってくるだろう。その売り玉が次なる上昇のエネルギーになる。従って、弱気が多いほどスケールの大きな相場に成長する。

なにがどうだから、なんなのだ―という理屈を知りたがる。

硬材料はあとから貨車でくる。荷が着いた時には納得だろうが値はもうその辺にいない。

取り組み増大。低温被害。売り込みすぎた取り組みの煎れ。ホクレンもびっくりの相場になる。

増反、密植が売り材料だったが、密植弊害が出るかもしれない。

10月限が大納言の捨て場月というけれど冷害・凶作なら、大納言様々になるし、捨て場限月が早いもの勝ちの買い場限月になる。

足かけ三年、丸二年も下げたのだから11限で三万円乗せは軽いだろう。

輸入大豆もシカゴ安で売られたところは買い場である。小豆のほうの足は速いが輸大とて各駅停車が特急に編成変えされる。

●編集部註
 ここでいう「三兵」とは酒田五法における「赤三兵」と呼ばれる線形の事を指している。罫線上にこれが出ると「相場はここから上昇に向かう」というメッセージになる。
 実際、当時の小豆相場はこの三兵から修正後に飛翔を開始する。買い方には極楽、売り方には地獄のような罫線がこの一カ月で出現する事になる。
三兵以外に「三山」「三川」「三空」「三法」の5つで酒田五法となる。
とはいえ、本文でもあるように、わかっちゃぁいるのだが出来ないという相場心理も働く。
誤解を恐れずに書くと、「おっ、三兵だ」と取引に参入する者が多ければ多い程定法通りに相場は動かず、少ない程定法通りに動く。